NRRW雑記

あれが面白かったとか、これが美味かったとか、楽しかったとか嬉しかったとかそういうの残ってるといいかなって思ったので書きなぐってます

夢見ることは放課後のリバティ

ブコメといえば何を思い浮かべるか。

いちご100%ToLOVEるニセコイ、五等分の花嫁などのメジャーな漫画や、ラノベ、映画、アニメなんかまぁ色々みんなあるだろう。

自分の恋愛観は○○で構築されてしまったみたいなやつもあると思う。

(ぼくは空の境界で構築されてしまったのでダメです)

 

そんななかで最近ついに単行本を全て買ってしまった作品がある。

2019年12月アニメ2期完結、原作漫画もラストスパートと思わしき「ぼくたちは勉強ができない」だ。

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https://www.shonenjump.com/j/rensai/bokuben.html

ざっくりとあらすじを説明すると

秀才の主人公「唯我成幸」は貧しい家庭のため条件のいい大学進学(授業料免除など)を目指し日々勉強していた。

そんななかその条件として2人の天才の教育係を学校側から命じられたがなんとその2人は自分が長けたフィールドの逆に進学しようとしていた(文系⇔理系)。

天才たちは進学したい方面は全くできずさまざまな先生をたらい回しにされていたのだ。

父親の言葉『お前はできない奴をわかってやれる男になれ「できない」気持ちがわかるのはできなかった奴だけだからな』を思い出した成幸は2人の幸せのため奮闘することになったのだった。

1話リンク【https://shonenjumpplus.com/red/content/SHSA_JP02PLUSCP021021_57

そう、この話はなんとも珍しい「勉強」をテーマにした漫画なのだ。

もちろん少年漫画のラブコメ、天才2人を筆頭にヒロインは増えていきハーレム感が漂う。

性的興奮を覚えるシーンもまま入ってくるし勉強全然関係ない回も当然ある。

しかし、それでもこの作品が素晴らしい点は「なんのために勉強するのか」という動機がはっきりとしていること、そして「夢に向かって進むこと」を物語の根幹に置いていることだ。

え?もうラブコメ関係ないじゃん?

違うんだなぁ、これがぁ!!

勉強を通して育っていくキャラたち、その人間関係そして当然成幸に対する好感度……

勉強というのは忌避されがちなものだ。

しかしこの作品はそれを使うことで学園ラブコメの質を格段に高めているのだ!!(美食漫画みたいなコメントだなぁ)

じゃあ要素を紐解いていこうか。

 

①登場人物の説明

まずは登場人物から。

最初に言っておくが相撲は関係ないぞ(ぼく勉 相撲で調べてもいいし調べなくてもいい)。

主人公 唯我成幸

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高3のド貧乏家長男。

家族に楽をさせるため条件のいい大学進学を勝ち取ろうとしている。

根底が善人の世話焼きなため先々でトラブルに見舞われる。

なお日頃から教育係として教え子たちの苦手分野集中特訓ノートを作成している生活なため寝不足の疲れ気味であることは間違いない。

父親の「できなかった経験があるお前はできないやつをわかってやれる男になれ」を体現していくことになってしまっているのが若干ステイなナイトを思い出さないこともないがあそこまで酷くはない。

 

理系を目指す文系の天才 古橋文乃

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高3の母親との思い出から天文学がやりたい女子。

文系科目総なめの天才。

しかし本当にやりたい理系科目は特に数学が壊滅的。

人の心を気遣い人間関係のバランサーになろうとすることが多い反面自分に関する人間関係では本心を見なかったり諦めが先立つことが多くそういった点を成幸にカバーされがち。

成幸の女心の師匠になり物語のラブコメ展開において最も状況を把握している立場。

貧乳であることを気にしている描写が多い。

アニメでは妙に推されている。

悪意的な半天狗コラが多い(誰だ薄汚い胸とか言ったやつは)。

 

文系を目指す理系の天才 緒方理珠

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高3の人の心がわかりたい女子。

数学系科目総なめの天才。

しかし本当にやりたい文系科目は爆心地的。

マイペースかつ論理性に偏重しすぎなところがあるもののうどん屋の娘であるため日頃から客商売に関わっておりコミュニケーション自体に大きな問題があるわけではない。

心がわからないということは自分の心もわからないということで、勉強が進んでいくうちに自分自身への理解も深まっていく。

劇中で最も心情の変化が大きい。

巨乳であることを強調される描写が多い。

 

スポーツ推薦を目指す片思い5年スイマー 武元うるか

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高3の成幸に5年片思いしてる女子。

最強スイマーだが勉強はできない。

スポーツ推薦なら勉強できなくても大丈夫だと思っていたがそんなことはなかった。

天才2人に続く成幸の教え子として特に英語を勉強していく。

物語中唯一の中学時代からの付き合いであり最初から成幸に惚れていた女子。

成幸にとっての一番であるために勉強会に参加するようになる。

成幸が好きだが勉強の邪魔になりたくないため必死に好意を隠している(よく漏れてる)。

ヒロインの中で唯一自身が持つ才能を活かす道を進む存在。

父が死にめげそうになっていた成幸に頑張っているうるかの姿が勇気を与えた⇔水泳で上手くいかず嫌になっていたうるかに再び水泳と向き合うきっかけを与えた   の相互救済関係ができている。

なお海外留学が決まっている。

15巻までで単独で単行本の表紙を飾ったことがなく個人エピソードがない(他のヒロインは全て終わっている)。

 

生徒よりその才能に寄り添う道を選んだ教師 桐須真冬

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誰よりも生徒に寄り添いたかった女性。

才能を活かせないことは不幸であると天才2人の進路を真っ向から否定する。

しかしその根底にあるものは自らの苦い記憶、才能の道を捨て目指したい道を歩んだ結果どちらも取りこぼしてしまった過去からくる生徒の将来を思いやる思考だ。

反面家事に関してズボラなところがありよく成幸に部屋を掃除してもらってる。それでいいのか。

世界史の教師ということで一応社会科を司っている。

稀に時空が歪み成幸の後輩としてのエピソードが始まる。

学園ラブコメなのに先生キャラが人気投票で2連覇を達成し2位の5倍弱という凄まじい得票数を得たが学園ラブコメで教師が選ばれるわけないだろいい加減に諦めろ金関。

好意的な半天狗コラが多い(時空が勝手に!)。

 

実家の診療所を継ぐため医学部を目指す浪人生 小美浪あすみ

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小妖精メイドをしながら受験勉強してる先輩。

理科系科目が苦手。予備校で出会い度々予備校での勉強の仕方などで成幸たちが世話になるが予備校、メイド喫茶ともに他のヒロインの活躍の場にされがち。

紆余曲折あり親から成幸が彼氏だと思われているが恋愛面では後輩としてからかうばかりで本気に発展しそうな空気がほとんどない。

状況をつんつんつついて終わるかニッチなお色気要員にされるイメージが強い。悲しい。

学祭などでは出てくるもののやはり日常舞台が高校であるため登場頻度が他のヒロインと比べて極めて低い。悲しい。

単行本の表紙での登板回数も最も少ない(5回  15巻までで 文乃:7回 緒方:8回 うるか:8回 先生:6回)。単独表紙も既に終わってる。悲しい。

 

以上がメインキャラ。

水希が好き?そう…….大変だね……

ぼくは小林とか結構好きだよ。

「成ちゃんが幸せならなんでも」とか言いながらうるかの友人と恋人になったりしてるイケメンだよ。

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WA2でいうと武也だね。あんなに話関わってこないけど。

それで言うと小林と関わりがあるヒロインはうるかだけなので……???

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ちゃっかり幸せになってるサブキャラ

部活最後の大会で敗れ落ち込んでいるところを慰めていい関係になったとかいう若干の警戒心を持ってしまうような流れだが武也ポジが悪いやつなわけないのであった

成幸だけをあだ名で呼んでるあたりがなんかいいね

 

②話の重厚感

ブコメのゴールとはなにか?

つまるところ「主人公と誰が付き合うか」になる。

そしてそれまでの過程を見て楽しむのがラブコメだ。

決まってしまえばそこで終わり。

まぁ選ばないハーレムエンドなんてのもあるけどそれが許されるのはだいぶエロよりのラブコメだろう。

そして、ぼく勉ではもう一つゴールがある。

つまるところ高校での勉強のゴール、受験だ。

勘違いしてはいけないが当然受験を人生のゴールだと思っているカスの話ではない。

進学とはここに出てくるキャラたちにとって夢の入り口に立つことなのだ。

 

つまるところぼく勉には二つの軸でのゴールがありそれらに関連するエピソードが混ざり合いより強固なストーリーが出来上がっているのだ。

みんなでたくさん勉強して、みんなでたくさん思い出を作ってこの1年間は本当に楽しかった。

読んだ人もそう思えるような話なんだ。

あととてもテンポがいい。

長編らしい長編がなく各ヒロインの出番が積み重なるように出てくるため読み進めやすい。

細かい話のつながりでありながらも話としての一貫性は損なわれていないのもポイントが高い。

成幸が巻き込まれるか自分から関わっていくことでヒロインとの共通点を見つけたりヒロインが抱える問題が解消されたり、そして成幸の行動指針が補強される。

 

これまでの中編シリーズなど。

文化祭(祭の行方はいざ知らず[x]どもは華やかに舞う)

各ヒロインが成幸と関わりながら進行していく。最後に一緒に見ると恋人になるジンクスがある花火が打ち上がり打ち上がった瞬間誰といたかがぼかされている。(事実上のこれ以上ヒロインは増えないしこの5人以外はヒロインじゃないよ宣言)

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文乃の家族との確執(最愛の星に[x]の名を)

文乃の父、零侍は文乃の進路を決して認めようとしない。

才能が活かされないことは不幸だという考えから取りつく島もない態度に文乃は家出を決意する。

行くあてがないため、成幸の家に泊まることとなりそのための着替えを家に取りに帰った際たまたま母親が遺したパソコンを見つける。

そこにはパスワードでロックされたフォルダが一つ。

「☆」

そう名付けられたフォルダには亡き母の残した数学の論文が入っているという。

父親にも娘にもそのパスワードはわからない。

母の忘れ形見は今の二人を表すかのようにただ佇むのみだった。

 

父親との関わりをほとんど諦めてしまっている文乃に成幸は星空の下、もう一度向き合うことを勧める。

これはきっと文乃自身が向き合わなきゃいけないことだと、だけどお前が本当にやりたいこと俺が全力で応援してると。

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父親は星について溢れる想いを語る娘に亡き妻の面影を見る。

しかしその才能が活かされないことは数学の天才であった妻が失われたことと同じ感情を抱いてしまう。

そこで文乃が取り出したのは例のパソコン。

そのフォルダが開かれた先には論文はなく、一つのビデオメッセージが残されていた。

それは二人に残したメッセージ。

夫への愛と、娘へのエール。

実は天才なんかじゃなかった。

あなたがいたから私は頑張れた。

できなかった自分がこうなれた。

だから文乃にも好きなことをしてほしい。

私は応援している、と。

 

フォルダのパスワードは星の名前。

母親と文乃が二人で見つける星の名前。

二人が一番好きな人の名前。

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母親の死以降向き合ってこれなくなってしまった父と娘のわだかまり

ただお互いが向き合えていればすぐに解けたはずのパスワードに文乃は母親との思い出を振り返り、この瞬間に身を委ねる。

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桐須先生の才能と人生(黄昏に氷の花は[x]と舞う)

桐須真冬の学生時代とはフィギュアスケートだった。

練習に時間を取られおおよそ学生生活の青春はなかったが、その才能を活かすことは彼女にとっても楽しいものだった。

しかし、彼女には別の夢があった。

教師になることだ。

恩師のように生徒に向き合い寄り添える先生。

彼女は見事に夢を叶え新米教師として生徒に寄り添っていった。

しかし、才能の差は無情にもその教え子に降りかかり音大を落第。

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生徒に寄り添っていたつもりがその実最も生徒を不幸にしてしまったのだと桐須先生は思った。

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そして、自分にはフィギュアスケートも、教師もどちらも中途半端にしかできなかったのだと悟った。

彼女は生徒の心よりも才能に寄り添うことこそが彼らの幸せのためであると思うようになったのだった。

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ひょんなことから再び開かれたフィギュアスケートと教師の分かれ道。

どちらにも踏み出せない先生に成幸は一度スケートリンクで滑ってみる機会を与える。

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それでも踏み出せない先生だが成幸の携帯から流れる音が録音でないことを、聞いたことのある癖があることに気づく。

それはかつてやり方を間違え不幸にさせてしまったと感じていた生徒の演奏だった。

生徒は「音大に行けなかったがそれでも音楽を続けている、今はとても楽しい。先生が一生懸命応援してくれたから今の私がある。貴女は自慢の先生だ。」という。

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それは先生にとってどれほどの救いだっただろうか。

過去の清算を果たし、その上で教師として生きていく道を再び選んだ桐須先生。

再び戻ってきた教師生活のなかでかつて憧れた恩師のようにどこまでも人に寄り添うその恩師の息子を見て先生は笑顔をこぼす。

それは氷の女王と呼ばれた彼女の紛れも無い本物の笑顔だった。

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小美浪先輩の「世界の全て」(砂上の妖精は[x]に明日を描く)

小美浪あすみにとって親が開く患者に寄り添った診療所は世界の全てだった。

その場所を、意思を継ぐことは彼女にとって当然の夢であり揺るぎない目標だ。

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しかし父親の体力が衰え、かつ近くに大きな病院ができたことで小美浪診療所には限界が訪れようとしていた。

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勉強に身の入らない小美浪先輩を見かねてメイド喫茶でのお医者さんごっこを提案する成幸(私は至って真面目な話をしている)。

一見ただのお遊びでしかないはずだったそれは自身の原点を再確認する場となった。

患者に寄り添いみんなを笑顔にする「世界の全て」。

医学部に進みたかったのも全てはそこにいたかったから。

小美浪診療所がなくなってしまうのなら、夢がなくなってしまうのなら何を志していけばいいのかわからなくなる小美浪先輩。

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しかし成幸は思う。

本当に彼女が大切に思ったものはこの場所なのかと。

その夢の根底はまだ終わっていないんだと。

途切れてなんかいない、小美浪あすみは親が見せた医者としての姿勢を受け継ぎ夢に向かっていける。

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小美浪あすみの夢は途切れない。

未来に目指す場所はきっとある。

こうして再び強い意思を胸に勉強を続けるのだった。

 

緒方の羨望と嫌悪(機械仕掛の蛍は[x]の淡雪に焦がる)

緒方理珠には悔恨の念がある。

祖母の気持ちを理解できないまま他界されてしまったことだ。

彼女はボードゲームを嗜むがそれには祖母の贈り物が由来している。

優しかった祖母は幼い頃の理珠にとって誰よりも楽しい遊び相手だった。

しかしある日突然全く遊んでくれなくなり、そのまま他界してしまった。

それ以来緒方理珠にとって祖母が遊んでくれなくなった日のことはわだかまりとなりゲームに勝てるようになればあの日の祖母の気持ちが、人の気持ちがわかるようになるのではないかと思うようになったのだ。

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時は流れ現在、クリスマス。

センター試験まで一月をきり緊張から落ち着きをなくした彼女たちは緒方うどんのクリスマス宣伝を行いながら勉強していた。

年季の入ったコスチュームは祖母の手作りであることを明かし、宝物であるこれまた祖母の手作りであるボードゲームを成幸に見せる理珠。

彼女にとって祖母の存在の大きさがほのめかされる。

 

他人からの好意、自分からの好意に自覚的になってきた理珠。

皆が私のことを好きであり、私も皆が好きだと思う、でも私は私が嫌いだと明かす。

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2年前出会ったその少女は、理想的な人間だった。

人当たりよく誰からも好かれる / 私と違って

人をよく見て行動する / 私と違って

人のことを知ろうとし、知ってほしいと口に出せる / 私と違って

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なれない理想を目の前に置かれるほど残酷なことはない。

不出来な自分を常に自覚させられる。

自分の嫌なところばかり見えてくる。

だから私は私が嫌いだ。

 

この受験勉強の日々で少しずつ前に進めているという自負があった。

理想に、古橋文乃という憧れに近づけたと思っていた。

でも何気ない自分の行動の意図がわかるようになってきてしまった。

人の気持ちに聡くなれば自分を好きになれると思っていたのに自分の醜さがより鮮明にわかってしまう。

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自身の嫌なところを自覚していくほどにあの日の祖母のように嫌われてしまうと思う理珠。

自身が思い描く理想とのギャップに苛まれる。

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昔のように独りに戻っただけ、そう思いつつも虚しさを感じる理珠。

そこに成幸が現れ試験を出す。

「解き終わった頃お前が自分を好きになれたら俺の勝ち そうでなきゃお前の勝ちだ」

 

私はずっと、私が嫌いだった。

なりたい自分はいつも隣にいた。

彼女の姿に憧れを抱き、彼我の差を憂うたび、

私は私を嫌いになった。

自分のことを書かれていると思った矢先、それは全く別の人物の心を書いたものであるとわかる。

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数学が得意な彼女。

もし、私が彼女のようだったなら父は愛してくれただろうか

もし、彼女のような才能を持っていたのなら、家族と仲良く過ごせ夢に向かってまっすぐに進めたのだろうか

『古橋文乃』は目の前の憧れそのものである『緒方理珠』に嫉妬する。

そして、自分を嫌いになる。

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まだお互いのことをほとんど知らない頃、打ちひしがれ夢を手放しかけてしまっている文乃に理珠は問う。

勉強とは知りたいことを知るためにあるのではないのか?

才能や他人の許可なんて関係あるのか?
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きっと理珠にとっては些細なこと。

それでも文乃には何よりも眩しく見えた。

 

なりたかった理想は同じだった。

自分にないものを持つ人に嫉妬し、憧れる。

 

それでも、自分の嫌なところを見せてしまうことが怖い。

それで嫌われることが怖い。

 

成幸は優しく、そして穏やかにその不安を取り除いていく。

お前が何かを間違えてると感じた時は俺も一緒に向き合う、ダメなら何度だって復習して次に活かす

この1年間ずっとやってきたように寄り添い、何度も苦手に立ち向かう姿勢を提案する。

きっと4月の時点では無理だっただろうけれど、今はここまでの歩みがあるから立ち向かっていける。

それにもう緒方理珠は独りじゃない。

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祖母の作ったボードゲームは誰かと関わる内容が多く設定されていた。

祖母とばかり遊んでいた幼い頃の理珠では有効に使えないであろう項目たち。

病を患い、孫とはそう長く一緒にいてあげられないとわかっていた祖母からの不器用なメッセージ。

理珠はようやくあの時の祖母の気持ちを理解することができたのだ。

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そうして緒方理珠の抱える問題は解決されまた一つ、自分の心を自覚したのだった。

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キャラ紹介でも書いたからお気づきでしょうが、そうヒロインのうちらひとりだけエピソードがない人がいますね?

武元うるかでございます。

しかしこの武元うるかという女、私見ではあるものの大きく意味を持っているキャラなのです。

特にそれがよく出ていると思う回が

95話 そうして彼は頓悟して[x]が為に走り出す

ラソン大会の回。

成幸はついに海外留学することをうるかから伝えられた後の話。

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その件以降成幸のやりたいこととは何かに焦点が当てられる構成になっている。

 

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91話 うるかに海外留学を伝えられた直後の成幸

催眠術にかけられてしまうという無茶な展開ではあるものの、そこまでしてようやく本心をさらけ出させることができる男だったという重みがある

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あれもこれも自分で背負いながら他人に寄り添い夢を後押ししてきた男の、いや少年の本心がようやく見える

へへっ…あっしはこういうやつが大好きでねぇ…

他人を幸せにしようと頑張ってきた人間自身がその他人たちから幸せを後押しされるなんて最高じゃねぇの

話は戻り95話。

海外留学するからその挨拶の練習としてうるかからキスされた件について(なおこれは彼女の勘違いであり普通は唇ではない)文乃と理珠に相談していく話かとみんなが思ったがこの話の本質はそこではない。

成幸が頑張る彼女たちにどこかで感じていた距離の正体を自覚し、自分が進むべき道を本当に選んだ = 成幸の夢が決まった 回なのだ。

 

彼女たちはみんな成幸にとって夢のために進んでいく人たち。

そんななかでうるかという存在は一つ飛び抜けている。

文乃や理珠は言ってしまえばマイナスからのスタート。

周りからの応援はなく自身の力も遠く及ばないなかで頑張ってきた。

さまざまな障害を成幸と一緒に解決し自分が進む道を勝ち取った人たちなのだ。

対してうるかはこれといった障害はなく(勉強自体も言ってしまえば最悪それができなかったところで夢の実現自体に直接の影響はない)、自身の持つ才能と同じ方向を向いた道を進もうとしている。

他のヒロイン、先生や先輩を含めて唯一才能での挫折がストーリーに関わってこない / この話が始まる前に終わっているのだ(キャラ紹介で説明したように中学時代に既に水泳に対する壁は乗り越えているためこのストーリーのなかで特別取り上げられることはないし既に終わっている)。

 

うるかはぼく勉でただ一人の夢への道をどこまでもまっすぐ進み続けている人間だったのだ。

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本当にやりたいことを、夢を優先できていない成幸にとってうるかはきっと対極的な存在だ。

ある意味夢の象徴と言っていい。

走り続ける彼女に並び立つこと、それこそが成幸が選びたい選択だった。

ぼくにはそんな風に見えました(強めの幻覚)。

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成幸が一歩踏み出すために何よりも強かったのはただ前に進み続けるうるかだったんじゃねぇかなぁとぼくは思うわけです(たわ言)。

 

 

そして唐突なんですけどジョジョで一番心に残ってるのはよくどこかでネタにされるセリフよりもポルナレフ

つらいことがたくさんあったが…

でも楽しかったよ

みんながいたからこの旅は楽しかった

な私です。

今は未来につながっていくけれど、その今を作るのはここまで積み上げてきたものなわけなのですから今を悪くないって思えることはきっととても幸せなことだと思うのです。

いい思い出たちはきっと一人で作り出せるものじゃない。

そういう積み重ねがあったんだって思える瞬間はこの世で一番価値のある瞬間だと思います。

 

それを1コマで完璧に表現してるなと思ったのが以下です。

一年の締めくくりとして完璧な演出では…?

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年を越したらセンター試験(執筆時期2020年1月半ば現在、まさにその頃)。

成幸たちもついに受験本番です。

センター試験会場に向かう成幸は車道に飛び出そうとした犬を助けるもののその際に雪で足を滑らせ大怪我を負います(ここで来週に続くとされた当時の気持ちわかるか?お気づきでしょうが俺は成幸のことがかなり好き)

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そんななかついに来たこの回。

俺にうるかだけだと心に決めさせた回。

129話 それでも尚[x]を支えるものは

意識を取り戻した成幸はセンター試験会場に向かおうとするが足が痛みほとんど動くことができない。

絶体絶命のその時成幸を助けられるのは誰か?

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うるかだ。

一人だけ推薦なのでセンター試験会場にいる必要がないというのはあってもここでうるかが来るのは運命。ときめいてしまう。

 

ただし試験には絶望的。

どんなに頑張ってもこの足では試験に間に合わない。

自分の不甲斐なさを嘆く成幸に対し、無駄になんてさせないと、力強く支えるものは……

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父親が死に心が疲れ果てていた時、

初めて本当にやりたいことを親に伝える時、

ここぞというときに成幸を支えてきたのは誰よりもうるかなのだ。

 

ダメですね……ぼくはこういうキャラにとても弱い……

惚れたら負けと言うが負けられるのなら負けておくに限るよねこういうのは。

 

そんなわけでうるかのおかげで車に乗った先生と合流することができて試験に間に合った成幸は確かな支えを感じながら実力を発揮することができたのだった。

 

まだまだ続くうるかの進撃。

センター試験の日に成幸が助けた犬を預かっていたうるかは飼い主を探していたがいなくなってしまうとそれはそれで寂しい。

それに対してもう教えることもなく、英語を上手に喋れるようになった / 夢に近づき成長した / あと少しで海外留学してしまう うるかにクソデカ感情描写をぶつける成幸。

ぐえー(ここまでうるかは成幸に片思いしている関係上うるか→成幸の感情描写は見慣れているが逆をやられると即死してしまう)

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ところで勉強も恋愛も佳境に入ってきたここで実は一人、恋愛方面で遅れを取っているヒロインがいるのにお気づきだろうか。

文乃である。

うるかは中学時代からの片思い。

理珠はクリスマスに自覚。

文乃はまだ成幸への恋心を明確にしていないのだ。

(先生と先輩…?倫理と扱いの差を考えてみればわかるはずだが……??)

それを自覚する回が136話。

何気ない会話からついに溢れてしまった言葉。

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気づいてしまった、もう誤魔化せない自分の心。

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コミックス16巻目にしてようやく恋心を自覚するヒロイン

熱い展開です。少し心が揺れますが俺の心は決まっているので大丈夫です。

 

そんなこんなで勉強も恋愛も最終局面に入ったぼくたちは勉強ができない、成幸と3人のヒロインたちははたしてどのような結末を迎えるのか!?

3人って言ったけど先生と先輩はもう巻き返しできないのか!?

(さらっとパチンコに行った高校生が主人公の漫画のアニメ化も決まったし倫理とかねじ伏せられる、果たして本当だろうか?ボブは訝しんだ)

 

バレンタインや

妙な勘ぐりをしてしまうこと(この演出はこのヒロインが勝つってことかみたいなの)を除けばバレンタイン回はここまできてラブコメのヒロインたちが仲良いのすごく好きです

うるかが強かった

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二次試験を終え勉強のゴールにたどり着き

最後の最後でノートを出してくるの死ぬほど好き

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ぼくはこの回読んだあと流星のナミダを死ぬほどループした(ほら君の今までが僕の中にあるから 一人だけど一人じゃない)

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そしてうるかがつよい(またかよ)

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そして、先にあるものは…

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そしてついに武元うるかのエピソード

泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ

がジャンプ本誌で始まり本当に本当にラストスパート感がとんでもないことに。

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このクライマックスを一緒に見届けないか…?

鬼滅の刃コミックス未収録分を読みたくて電子版一気買いしたそこのあなた、鬼滅の刃読むついでに読まない…?

ブコメで最初に告白するのは敗北フラグとかなんとか言う人もいるし、文乃な恋心への自覚を最後にあまり動きがないし、理珠もこれで終わるわけはないし、濡つっていうのが異様に不穏だしでまだまだ決着が誰なのかは予想の域を出ないラブコメぼくたちは勉強ができないを読んでくれ………

何より俺が他人の感想を見たいから