どうせ普通の映画でしょ?→ジュ〜シ〜〜!!
この題名で見にきた人、大丈夫ですか?
仮面ライダーグミのブログじゃないですよ?
「空の青さを知る人よ」を先日見てきたんですね。
なんで今更なんだよって感じなんですけどこの映画は2つに1つだったので敬遠してたんです。
①なんかまぁまぁなものが永遠と続き綺麗な空だったね終わり
(こんなことに時間と金使っちゃって)悲しいねバナージ
②こういうのでいいんだよこういうので
のどちらか、端的に言えば30点か70点か。
0点ではないし120点でもない。
そも、120点を予感したら前売り買って見てるからね。
この映画で不安だったことはやはり君の名は。人気から派生した恋愛ファンタジー(オカルト)映画にすぎないんじゃないかっていう懸念、そして鉄血のオルフェンズを作った監督と脚本だったこと。
ライブ感の高いテレビシリーズと違って映画なので2つ目はまぁそんなでもないかなと思った(終盤監督と脚本で目指す先が違ったのでとっ散らかったらしい、主人公側の重要キャラが死んで心が何も感じないとかすごいなと思った)けど1つ目はとても悲しい。
もしそうだったなら製作陣はスポンサーの意向で作りたいものとズレたものを作らされ、俺はなんか違ぇなぁと思いながら見る誰も幸せにならない状態ってことだからな。
そんなこんなでまぁもしかしたら金ローとかアマプラとかで見られるかもな程度に思っていたわけなんだが転機とは突如現れる食欲のようなもの。
目に留まってしまったからあげは今晩のおかずとなるほかないのだ。
11:50の回を11:30に把握し見に行く、しかもいい席で。
映画というのは電車と違い5分で次が来たりはしない。
その日見ようと思っていたものが昼は前の方しか席がないとかで夕方になるなんてこともアスラン・ザラ。
そんななか上映時間数十分前で奇跡的にいい席で見られるなんてことは空から女の子が降ってくるぐらいの運命的な出来事だと言えるのである。
運命感じちゃったのでそこそこウキウキしながら貯まったポイントでドリンクを購入し、映画を観る予定じゃなかったのでこれでもかと購入した漫画や食料を抱え席についた(入る直前でこれめっちゃダメなやつでは???ってなった)。
で肝心の話なんですけど、ざっくりまとめてしまうと
「自分のせいで姉はイケイケバンドマンと上京できずこんな田舎に縛り付けられていると思っている主人公あおいとその姉あかねはつつがない生活を送っていた。
ある日町おこしの一環で演歌歌手を呼んだらなんとバックバンドにあのイケイケバンドマンが!!
しかし見る影もないほど変わり果ててしまった元イケイケバンドマン慎之介、そして時を同じくして現れる『あの頃の』イケイケバンドマンしんの
姉妹と2人の慎之介/しんのを中心にあの頃が、今が動き出す……」
みたいな感じですね。
この主人公のあおいって子は最初いきなり橋の上でイヤホンつけてベースの練習を始めるんですけどこのワンシーンだけで今彼女がどういう状態かわからせるバッチリな掴み。
「わたしにはこれだけあればいい、他はいらない」という姿勢。それでいて誰かを待っている状態。
この子、昔お姉さんとイケイケバンドマンたちの集まりに一緒に行ってそこでベースをやり始めるんですけど音楽で何かをしようってシーンが全部そこに繋がっててお前の原点全部そこじゃんって感じでお前よくそれまでその心に気づかずいられたなと思いました。
そうなんですよね、もう見てるこっちはシーンが流れるたびにお前の全部があそこにあったんじゃん……って思わざるをえない。
①何故ベースか?→イケイケバンドマンしんのがギターなので
②何故続けているのか?→イケイケバンドマンしんのに「じゃあ将来はうちのベースだな!」と言われたのが心に残ってる
③あの頃の思い出→イケイケバンドマンしんのに目にホクロがある共通点を「俺ら目玉スターだな!」と言われたのが心に残ってる
④実力を見せる場で演奏したのはガンダーラ→イケイケバンドマンしんのが演奏してた曲
そう、この映画の主人公は中盤までで10年来の初恋に気がつかされるのである。
しかし、そう、イケイケバンドマンしんのはお姉さんあかねラブ。
ギターに名前つけちゃう🎸し、東京でビッグなバンドマンになってあかねを迎えにきちゃうぜとか言っちゃうような男なのだ。
だがこれは可哀想な失恋の話ではない。
恋愛を通して描かれるのは過去との決着、少女の成長とそれを見守ってきた家族=姉との決着なんだ。
そこがとてもよい……
両親を亡くし、ほとんど姉妹だけで生きていくこととなったあおいにとってあかねは唯一の頼れる存在だった。
それを失いたくないがためにしんのがあかねを連れて上京しようとするのを止めたことをずっと「自分のせいで姉は自由を失った」と思っている。
だから自分がここを出ていくことで姉を自由にしようとした。
そして姉を幸せにできる存在を探していた。
自分本位なように見せかけてその実行動指針がかなり姉のために傾いてる。
でも末っ子の行動なんて結局自分本位なんだ。
愛情を向けてくれている家族の本当の気持ちなんてわかっちゃいない。
物語の中盤でしんのへの恋心を自覚したあと、姉の本当の姿を見る。
姉は、親のいなくなったなかで完璧であるかのようだった。
食事を作り、裁縫をし何もかもを上手くやっていた。
しかし本当はそうでないのだ。
世の母親たちがそうであるように完璧に見えるように頑張った結果なのだ。
あかねがしんのについて行かなかったのは、あおいがごねたからではない。
あかねにとって一番大事なのが大好きなしんのではなく自身の妹、あおいであったからなのだ。
きっと、子供がいたり、弟妹がいる人はあかねに感情移入できるんだろうな。
俺は末っ子だからあかねに感情移入しきれず、ただそこに感じられる愛情に涙した。
当然じゃない特別な愛情。
俺もそれを持ちたいね。
にしてもそれをおにぎりの具1つで伏線にしたの上手いよなぁ。
しんのが好きな具はツナマヨ。でもあかねはツナマヨのおにぎりをほとんど作らず昆布のおにぎりを作った。
あおいの好きな昆布のおにぎりを。
ぼくはね、そういう当然だと思ってしまうものの本質がかけがえのないものであるみたいなのが大好きなのでね。
最後にあの時あかねとしんのの道を違わせたあおいが自ら一歩引くことであかねと慎之介/しんのの決着をつけさせる=自身のしんのへの恋心よりもあかねの幸せを優先したのがとてもいいですね。
これだけだとあおいが失恋して終わりやんけやっぱり失恋映画や!ってなってしまうかもしれないんですけど、実際あかねを助けるためとはいえ好きな相手と空を飛んでお姫様抱っこされてとか極濃の思い出をかまされたあげく3人の決着をつけさせるため1人泣きながら歩いて帰るなんてことしてこれくっそ引きずるでしょと思ったんですけど、この映画アフターケアが完璧なんですよね。
劇中あかねと慎之介が2人きりで話したあと、行ったことを確認したあかねが一人で泣くというシーンがあるんですね。
ここであおいはあかねが泣くのを初めて見て衝撃を受けるんです。
両親が死んでからあかねが隠してきた感情の一端を影から見てしまい、あかねが決してあおいに見せてこなかった感情をです、このシーンでもあおいのためにあかねがいかに完璧であろうとしていたかが見られるんですね。
また、しんのへの恋心を自覚したあとあおいはあかねに対し八つ当たりをしてしまい思ってもいないことをぶつけてしまうんです。
思っていることを隠し続けてきたあかね、姉の幸せを願う心を正直に晒すことのできなかったあおい。
その二人がですね。
エンドロールで流れてくるあかねと慎之介の結婚式の写真で姉妹向き合って泣いているのがあるんですね。
もう心の中では堂馬広登が「よく、頑張ったな」って言ってるし
どこからかUVERworldのクオリアが流れてくるわけです。
ちゃっかり映画の前奏長めバージョンです。
ああそうだよな、行き着きたかった終わりはここだよな。
これ作ったやつら、やるやん。
ってなったね。
総合評価80点。
大変美味しゅうございました。
最後になりますが相生あおいちゃん。
ベースを演奏する姿エウレカの操縦以来のかっこよさでした。
太め眉毛なデザインが非常に合っていて非常に凛々しい、いいキャラでした。
サウンドトラックにもあるガンダーラがいい感じにバンドやってる女の歌声って感じなのもなんかツボに入る感じ。
要はお前はグッドじゃない…
最高(ファンタスティック)!!
以上!!