WHITE ALBUM2 雪菜
ルート分岐のあるゲームは選択肢によって様々なエンディングを迎えるけれど基本的にどれも作者は「このお話はこれがメインなんだよ」というルートを用意している。
こと、このWHITE ALBUM2というゲームにおいてどのような終着点を迎えるべきかと言えばそれはあの日々を、あの日々に生きていた者たちで決着をつける他にないと思う。
closing chapterの雪菜ルートが他のルートと一線を画するのはその点だ。
今回はいつものようにダラダラとストーリーおさらいしながらはなるべくやめて、要点要点に絞っていく、いきたい。
あの地獄のクリスマスを終え、他のCCではそれぞれの女に逃げ込むが、この雪菜ルートではそうならない。
でも、逃げ込まないことがこのルートをより救ってくれている。
雪菜は春希を第一に、それと武也や依緒以外を全く自分の世界に入れていない(大学の知り合いに北原春希という思い人がいることを話さない、家族に春希と疎遠状態になっていることを話さない、何が違う?)。
狭く完結した世界で苦しみもがいている、まるでいつかのかずさのように、雪菜に対して春希には外の世界がある。
まず、彼をいつも一定距離から見守り続けてくれた気丈な上司が気にかけてくれる。
麻理さんは厳しい人だけどできないことを無理矢理やらせてきたりするタイプじゃない。
春希の能力を買ってるので「お前は、できるよな?」って元気付けてくれる。
次に、彼をいつも頼りいままでになかった関係で居場所を作ってくれた友人が訪ねてくれる。
千晶はいつもだらしなく春希を振り回すばかりだけれどあの3年前のメンバーにはできなかった心の癒しになっていた。
春希の想いを誰よりも深く見ていたので答え合わせのように進むべき道を、その決意を改めて感じさせてくれる。
そして、彼をいつも叱り、時に同情し誰よりも親身になってくれた後輩のいる職場に出向く。
あの日の出来事を、電話越しじゃなく直接話して、自分の今までを省みる手助けをしてくれる。
彼が元の正しい人間として振る舞えるように。
電話から始まり人と直接会い、自分から人に会いに行けるところまで回復していくのが雪菜ルート序盤の流れ。
こうして今まで積み重ねてきた彼の世界が、彼を元に戻し、そして先に進む力をくれる。
最高じゃない?天才じゃない?
雪菜たちから逃げた先ではあったけれど、それも無駄なんかじゃない。全部積み上がって自分だけじゃ届かなかったはずのものに手を伸ばせるようになってる。
真剣に雪菜に向き合うために春希にはこのclosing chapterで知り合った3人が不可欠だったんだっていうのが、いいよね。
自分だけじゃできないことも、誰かがいるからできたりする。
希望がある話だろ?好きなんだよそういうの。
ここからは雪菜と向き合うと決めた春希の快進撃が始まる。
雪菜ルートのいいところはここ!!
WHITE ALBUM2とは思えないほどに前向きに、決して絆を諦めない、必ず幸せを掴み取るっていうの強い意志がある(つまりintroductory chapterは事実上のかずさメインの浮気ルート…?)。
かずさ/今いない人 との決着をつけるのは雪菜/今いる人 との決着をつけてから。
新年早々想いを伝える電話をかける春希。
いいよね。俺もやってみたいね。そこまで想った人いないけど。
前に進む決心をした春希とは裏腹にどうしたらいいかわからなくなってしまった雪菜。
決して自分からは動けないのに離れることも絶対にしたくない。
ただ、自分を肯定してもらいこの状況から連れ出してもらって幸せになりたい、春希に。向こうの行動で。
この段階でも春希の中にはあくまで「あの3人」っていう考えがあるあたりが春希。
なんとなく、春希にとって武也とは1対1の関係で、依緒はなんというか、付随品みたいなところがある気がする。
もちろん友人だとは思ってるしあの頃を知る人として特別ではあるんだろうけれど、直接の関係はないというか、雪菜やかずさや武也が特別過ぎるんだろうなって感じる。
いつだって春希が大事な話を望むと望まないとに関係なくするのは武也だから。
春希と依緒がタイマンで話すシーンあったっけ(依緒がタイマンで話すのは雪菜など女性が主だった気がする)?
また雪菜と向き合うために楽器を再開し、その時間を作るためバイトを/麻理さんや小春と関わる時間を 無くしたところもまた「この話のヒロインが誰なのか」を明確にしていていい。
誰か1人のために時間を費やす、そういうの好き。
しかし、この雪菜ルートはclosing chapterそれぞれのヒロインが捨てられて終わるわけじゃない。
小春は彼女のルートと違い至極真っ当な生活を送っていくのでグッディーズに残りいつかの春希のように働くようになる。
千晶は春希が前向きになれたことである種の救いを得られている。
麻理さんは……ただ何もなかったことになった。いやこれちょっとあれだな。他と比べて救いはないな。
どのヒロインもそれぞれのルートの途中より全然マシな人生歩めるあたりが春希お前そういうとこやぞ(最終的にはこの雪菜ルートより全員幸せになれてるあたりも少し腹立たしい。なんなんだ春希)。
そしてこのルートはなによりも雪菜にとっての救いでなければならない。
そのための重要なピースこそが3年前にもいたけれど関わってきたのはごく最近(関わり方は千晶に近い)の柳原朋。
雪菜に激しくつっかかってくるいわゆる「嫌な女」という役なのだけれど雪菜に対して今一番必要な相手「雪菜に怯まずまっすぐぶつかってくる人」だ。
誰にも、春希はもちろん、依緒や武也にも家族にも明かせなかったこの3年間の溜まりに溜まった感情を爆発させる相手それが朋。
自分の望みを叶えようとした結果全てを壊してしまった女の子の悲しい自己犠牲の膿がようやく解放される。
乱暴されかけて、朋に/自分自身に怒って、春希に八つ当たりするシーンすごい好き。
何よりも「こうあるべきだった」が詰まってる。
幸せに寝落ちする雪菜可愛い。
音楽を使うことで毎日の繋がりを得られた春希と雪菜。
音楽という手段が既にかずさの影が見えているものの、それを含めてまるでこの3年間をあの頃からやり直しているかのような幸せな時間。
ただ雪菜が前に進めるようになるまで待ち続ける。
終わりのな〜い〜ディフェンスでもいいよ〜
君が僕を見つめ続けてくれるなら〜〜
反省して改善して行動する。これ春希の一番いいところ。
過ちは繰り返させない!
ガンダムばっかじゃねぇか。
絶対に前に進むという強い覚悟が言葉でなく心でわかるシーンが多くてね、それがいい、それがいいんじゃあないか!
軽率に体で繋がろうとする雪菜、サブコンテンツでもあったように彼女の中で春希と体で繋がったのがかずさなので体を繋げてしまえば心も繋がると思い込みたいんじゃないのかなって。
彼女なりの強硬策なんだろうけれど、ここまで立ち直った春希には通じない。
絶対に!絶対に!!!過去に打ち克って希望の未来を!!冬の終わりを!!幸せの向こう側を掴み取る!!!
そんな決意が道を切り開く…
今度はジョジョばっかりじゃねぇか……
歌から始まったあの破滅を修復するためにはもう一度歌うしかないっていうのはありがちなんだけどやっぱり燃える…
他人の事情を自分のせいだと申し訳なく思えるほどには精神を回復した雪菜だけれど、これもやっぱり春希が前を向いているから。
「歌を嫌うことで春希を嫌わないようにした、歌ってしまったら思い出す。そして嫌いになって、憎んでしまうかもしれない。」
っていうのが当時絶対に春希に見せなかった雪菜の影を表している。
かずさにお別れを言うため空港に行こうとするときも、自分を置いてかずさに抱きついたのを見たときも、飛び去った飛行機を見送るときも、雪菜は春希を憎む発言をしていない。悪いのは自分だって言い続けていた。
もうあの頃から溜まり続けていた見ないようにしていた感情たち。
全部全部歌に乗せて、影だけじゃない、全部。
もうあの頃じゃない、今を生きてる。
もうかずさは隣にいないここにいない。
辛かったけど、今だって辛いけど寂しいけど悲しいけどそれでも私たちは前を向いて進んでいる。
2人で幸せになる。全てを受け止めて先に進む。
2人は想いを重ね、体を重ね、幸せなキスをしてハッピーエンド……
究極の一発!!!完全勝利ィ!!
繋いだその手は離さないからね……
そんなこんなでついに繋がれた2人、お互いに求め合うけれどもそれと同様に自分の足で立ち上がる強さを持った2人。
数々の苦難が作り出した2人の強さ。
もう大丈夫、歩いて行ける…
そしてその年の誕生日は…たくさんの人が/あの日とは違う 、大切な人が雪菜の横にいる。
これ以上ないほどの終幕、幸せが極まってしまった……
からぁのぉ!!!!!!!!
始まりのストラスブール!!!!!!
映画風に言うと「戦いはまだ終わっていなかった……」的な。
「やつはまだ生きていた」的な。
こう書くとダメなモンスターパニック続編みたいだな。
ともかく、WHITE ALBUM2という物語はついにその終わりを迎える…(まだ3ルート+追加エピソードあるが、長いわ)
CC雪菜ルートでここまでの幸せを掴み取ってからの、coda、かずさとの再会。
もう出会うはずがなかったのに…
仕事で行った海外。
クリスマスイブを雪菜と過ごしプロポーズしようというその時に、たまたま、そこにかずさがいる。
なんで今なんだよ………
雪菜とのミサをほっぽりだし、責任感という免罪符でかずさの手当てをする春希。
お気づきだろうが、彼らの間にある同じ時間は「あの日々」しかない。
それ以外はないのだ。
正直に言うとこれを初めてやった時もうすでに心はかなり決まってたので結構耐えられた。
会えない時間が愛を育てるなんて俺は思わない。
人は関わって初めて交わっていけるんだよ。
人と関わりやすいことでそれだけ傷ついてきた友人がいるけれど、俺はやっぱり今よりもその方がいいな。
でももしそうなったらあの人と同じことを思うのだろうか。
まぁこれは本題じゃない、ただの自分のあり方の話だ。
かずさの「いつ、なんだ?」に『俺』は少し躊躇って「近いうちに申し込むつもりだ」を選べる。
何故なら、俺は4ルート分見てきたからだ。
その場にいる人たちとしか生まれるはずのない激闘を、雪菜と関わってきた時間を。
確かに、CCの雪菜は弱い女だった。
うじうじしているのに我儘で、さらにここぞという時にその両方を発動させてしまう。
でも、春希との関係決定的な逃走をしなかった。
他のヒロインのルートでは底力を見せた。
俺はね、そういうの好きなんだよ。
泣きながら前に進む、そういう強さがあってもいい。
弱さを持っていても、それを抱えたままで進めることを俺は尊重したい。
一通りやって心が決まってると一方的になってしまうな。
それとも、ブレないように自分に言い聞かせているのかな。
もっとも春希はまだブレる要素ありありで進むんですが。
日本に帰国しかずさのことを押し込めようとする春希だったがそこにまた、まただよ。
冬馬かずさ日本公演決定の知らせが / かずさがまた手の届くところに くる。
雪菜のことだけを考えていくことに(無理矢理)した春希は逆にそのことが態度に出てしまう。
白状しかずさと再開していたこと、それがストラスブールでのあの日に雪菜と会えなかった理由だったことを明かす。
当然ショックを受ける雪菜。
かずさと会いたかったと口に出るがそれが本当の望みなのか自信がない。
でもね、俺は雪菜をあまり心配してなかったんだ。
雪菜はもう一度乗り越えたんだから。
問題は春希、お前だよ。
基本的にプレイヤーが手を出せないやらかしばっかするんだからお前は。
まぁこの後すぐさま仕事の帰り道に旧冬馬宅を訪れそのままかずさとの運命的再会を果たすんですけど(そういうとこやぞほんま)。
かずさとあれこれギリギリのやり取りをしている裏で雪菜は朋と相談している、そうだそれでいいんだお前はあの頃でも、5年前でも2年前でもない今の進化したお前なんだから。
武也や依緒みたいに5年前のあれに近すぎない、でも相談できるそんな友人ができたのは本当にでかい。
極端に自分の中の席が少なくそれを増やす気がないかずさと、席は少なくても周りに広がっていける雪菜もいい対比だなって思います。
ひたすら引きずるかずさと受け止めて先に進む雪菜。
作品は対比が大事。それが巡り巡って「完成に足る、美しい紋様」になる。
雪菜と会わず、かずさの介抱をする週末。
冬馬曜子の「この子を、振ってあげて」。
状況に飲み込まれそうになりながらも雪菜との約束を守り、
自分からは連絡せず仕事としてかずさと過ごす1ヶ月を決める春希。
結果ほぼ同棲することに。
そうはならんやろ(なっとるやろがい!!)
節々に春希への依存を感じさせながら過ごしていく2人。
それでも春希は雪菜のものだと必死に自分を鎮めるかずさ。
コンサートまでの関係、あとたった1週間のもの。
その2人だけの秘密を抱え、春希には雪菜と2人の時間がまた始まり、終わっていくはずだった関係。
その最後に明かされる5年前、誰が先だったかの真実。
いや揺れまくりなんですけどね。
CC雪菜をやらせた後にいかにしてプレイヤーの心境をかずさに揺らさせるかですよここは。
ぐらんぐらんに揺れてしまう春希くんですが私はそれでも未来を見て先に進む人間の方が好きなので血塗れのボロボロで足もまともに体を支えられなくなっていながらも軽口を叩きながら相手を見据えるそんなバトル作品のキャラ心境で雪菜ルートに行くんだってやってましたね。
ついに訪れるコンサート当日。
かずさは会場の誰でもない、春希のため(もしかしたら雪菜も)だけに最高の演奏をするつもりでスタンバイしている裏で春希は耐えられなくなり雪菜に会いに行く。
かずさと偶然とはいえ2週間一緒にいたことを明かすが雪菜は既に朋の情報からそれに気付いていた。
春希の懺悔を聞き、その罪を許し、そして最後に自分のためではなく親友のかずさのために怒った。
かずさのことを途中で投げ出してきた春希に怒った。
私たちはこんなことじゃ終わらない、時間は何も解決しない。
たとえその先に自滅が待っていても、これまで何度も味わってきた苦しみがまた襲って来ようとも私たち3人の関係に決着を付けなきゃいけないと、はっきりと口にした。
『だから気に入った』
やっぱ涙を流しながら先に進む強い奴大好きなんですよね……
でも雪菜の強さは歩んできたこの5年が作った強さだからさ、そこがかずさとの差だと俺は思っちゃうんだよね。
別れ際に「わたし、今、すごく濡れてる」とか言われるとめちゃくちゃ興奮してしまう。
愚かな私を許して。
頑張って新幹線で大阪から戻ってきたが当然、間に合うわけもなくコンサートは終了している。
コンサートの結果は人伝には「失敗」だった。
技術は高いが表現力に問題あり、失速していた。
表現力こそが魅力と言われ、1日10時間練習するあの冬馬かずさがそんなはずはないとわかるのは春希だけ。
本人にも母親の曜子にも連絡が取れず必死の捜索を行う。
ようやく見つけたのは旧冬馬宅。
体の傷以上に深く抉られた心は訴えるような殴打で、自身を顧みずに春希にぶつけられた。
人の心を壊せてしまうほど深い間柄に憧れてしまうのはそうなったことがないからなんだろうなとは思う。
「あの日の学園祭のステージから、
ずっと、降りてきていなかった。」
ってほんと好き。
舞台に上がった3人、その脇から眺める2人。
その他有象無象。
何も交わっていない世界。
もう終わったはずだったのにまた始まってしまったのは、手が届くんじゃないかって思ってしまうのはCCを終えた2人だけではなくかずさにとってもだった。
もうこの瞬間だけでもいい、求めさせて欲しいと迫るかずさを押し留めつつも自分の本心を、かずさがずっと好きだったという思いを打ち明けてしまう春希。
それでも、ここは譲れない。
「あたしのこと、嫌いじゃないって言っただろ?」
「いいや…好きだって言った」
「自分のせいだって、認めたよな?」
「五年前も、去年も、一昨日も…
全部、俺が悪い」
「なら………こっち、向けよ」
「……嫌、だ」
「どうして…あたしを受け入れてくれないんだよ…っ」
「雪菜を、愛してる
雪菜を、世界で一番愛してる…
もう、裏切りたくないんだ」
ひとつの決着がついた。
嘘をつかなかった、自分にも相手にも。
でもまだ誰も幸せになれてない。
物語は、本当の決着はまだこれからだ。
怪我を負ったかずさの面倒をみる春希。
振られて、それでも一番近くで面倒をみてくる。
感情が常にぐっちゃぐちゃよそりゃ。
それでもそれなりに立ち直り、ピアノに戻っていこうとする中で、もう一つの心の拠り所である自身の母親冬馬曜子は白血病により日本に永住するつもりでいた。
追加公演後、かずさは1人海外に行くのか?母親の病気をどう伝えるのか?
全てが未知のまま開始する作戦。
春希、かずさ、曜子…
要素はぎこちない歯車のようで、本質的な終わりも見えず危なげに動いている。
どうすればかずさは幸せになれるのか?
暗雲の中、先に来てしまったのは「歯車が外れた」という話だった。
たった1人の心を許した男に振られ、たった1人の肉親でありライバルであり教師であった母親に迫る死を実感したかずさの世界にはもう何もない。
ピアノはたった1人の男と語るもの、たった1人の肉親との繋がり。
世界中のどこにも居場所がない、自分の中にも誰もいない。
きっとかずさ1人ではもうどうにもならない。
でももう春希にも曜子にもどうにもできない。
ギリギリまで頑張って
ギリギリまで踏ん張って
ピンチのピンチのピンチの連続
そんな時、欲しいものは一つだけ。
絞り出された「助けて」、最高に好き。
立ち向かうんだよ、親友のために立ち向かえるんだよ雪菜は。
「かずさの周りにだって、たくさんいるんだよ。
あなたが見ようとしないだけだよ」
世界に絶望したかずさに雪菜は自分が、春希があなたを思っていると訴える。
その人の自己評価なんか関係ない、こんな自分を好きになってくれるわけがないなんてそんな考え関係ない。
「私があなたを好き」そこから始まる5年分の喧嘩。
ここ最高なんですよね。
5年分積もりに積もった思いが爆発してる。
そのうえで絶対に自分もかずさももちろん春希も幸せになってみせるっていう決意が強い。
ハイパームテキ雪菜でしょ…
それでもお互いにお互いを「こいつには勝てない」って思ってるのも最高なんですよね…
最後の最後に救うのは好きになった人じゃなくて恋敵なのめっちゃよくないですか?
壊れてしまうとかずさが思った、広げられるはずがないと思った自分の世界。
でもそれは自分がいままで作ってきたもの。
かずさのピアノが春希に届き、そのギターが雪菜を引き寄せた。
春希がいたから母親とも和解できた。
繋がっていける、かずさにはその力がある。
誰も仲間外れにならないために、みんなで幸せになるために。
「笑おうよ、かずさ…
これでもう、わたしたちはずっと三人だよ」
ついに再始動したかずさ。
追加公演とCDの収録、どちらも期限は1週間。
「間に合うの?
そんな具体策も何もない勢いだけのやり方で…」
「…知らないのか?」
「何を?」
ここ激アツポイントですわぁ…
ここからも激アツですわぁ…
学園祭のあの頃みたいに3人で(武也のことは言うな)音楽をしてしまおうという(そしてそれをCDにして売り出す)とんでもない企画になっていく。
練習して、仕事して、ジャケットデザイン考えたりして、雑誌読んじゃったりして、新曲の歌詞がなかなかできなかったりして……
夢のような日々が続く。
現実に追いつかれないよう、置き去りにしてしまうほどの猛スピードで。
ついに追加公演の日。
ボーナストラックはまだ曲ができてない。
かずさはコンサートまでに曲を完成させ、春希と雪菜はコンサートの間に曲をマスターするスーパータイトスケジュール。
しかし、それでも希望的なのはあの日春希がいなかったことで失敗した公演とは違い今回は「その場にいなくても、お前のことを感じられる」と言い切り、最高のコンサートになると断言する(当然若干雪菜にはちょっと辛い発言)。
宣言の通り最高の演奏をして、ついに本番。
3人の演奏を前に、雪菜への感謝とあと30分で終わるこの状況への別れを口にするかずさ。
それを受け止めきれず泣き出す雪菜に対し、かずさは日本に母や雪菜、春希のいる日本に残ると悪戯っぽい笑みで言う。
その後流れるその涙は悲しみではなく…
全てが終わったあと、かずさはピアノを引いている。
部屋には2人だけ、あの文化祭の後のように。
誰かが寝てしまったあの日。
誰かが先だったあの日。
反復はなし、そんなことは許されない。
「行けよ。
雪菜のところへ…
雪菜と、二人で歩く未来へ進めよ」
一生この気持ちを抱えたまま生きていく、それでももう選んだし見出した道。
「さよなら」と、そして前回にはなかった「これから」を口にして春希と別れるかずさ。
雪の降る中、外で待っていた女の子に確定的な言葉を口にする春希。
そう、これは雪菜との物語。
クライマックスはまだこれからなんだ。
本気の、本心の雪菜との最終決戦。
強いだけじゃない、それと同じぐらい春希を疑ってしまっていたし今だけはかずさが一番って自分で言ったことも今だけじゃ済まないんじゃないかって怖くなっていた。
「かずさに寄り添う春希」それは十分すぎるほどに雪菜を苦しめていた。
それを隠して「また3人に戻れた、それをできた自分」でいられたのがかずさを置いて自分にプロポーズしにきた春希で決壊してしまった。
みんなの幸せを願いながらもかずさに嫉妬する自分がこんなにも醜い悪い子だという現実を突きつけ、それでも自分を選ぶのかと問う。
答えは一つしかなかった。
雪菜の自己分析も、自身のひいき目な評価よりも、雪菜の本気の愛がかずさに伝わったという事実が決してこの行いは自分で思っているような酷いことじゃないって信じられる。
そうして二人は心身共に一つとなり、全てが終わったかに思えたが雪菜はまだまだハイパームテキだった。
相互不干渉を貫いていた春希の母親にも手を出し本当に全てを幸せにしようとする。
大団円。
グランドフィナーレ。
勝ち取った幸せほど見ていて好きな物もない。
全てが幸せの中に閉じるルートが大好物なんだ。
雪菜ルートはまさにそれだった。
雪菜というキャラクターと共にずっと好きでいると思う。
そしてまだこのゲームはかずさcodaと浮気+不倶戴天が残ってる…
長いんだこのゲーム。
何時間遊べるんだよ。
ミニアフターは全てが終わったその先だから物語の中にないってイメージ。