NRRW雑記

あれが面白かったとか、これが美味かったとか、楽しかったとか嬉しかったとかそういうの残ってるといいかなって思ったので書きなぐってます

この胸の痛みは本物だから

ガンプラアニメは今までに

ガンプラビルダーズ

ガンダムビルドファイターズ

ガンダムビルドファイターズトライ

ガンダムビルドダイバーズ

と作られてきた(外伝のバトローグとかは抜いて)わけだけれどどれもガンプラ話作る楽しみとかガンプラを動かせる楽しさとかに焦点が当てられてきたんだけれど今ガンダムチャンネル(https://m.youtube.com/channel/UC7wu64jFsV02bbu6UHUd7JA/channels)で配信されているガンダムビルドダイバーズリライズはその点で一線を画している。

 

ガンプラをスキャンしVR空間で人々との交流や自分のガンプラを使ったミッション、チーム戦やフェスティバルなど様々な楽しみ方があるGBN(ガンプラバトルネクサスオンライン)を舞台としてガンプラとそれが生み出す絆に熱中していく主人公リクと仲間たちはフォースと呼ばれるチームを作り日々のガンプラバトルやGBNの影で動くバグを意図的に作り出している存在に数々の強者たちと立ち向かっていく。

そんなフォース「ビルドダイバーズ」を中心としたガンプラの魅力を前面に押し出しつつ電子生命体との共存も盛り込みボーイミーツガール的な前作ガンダムビルドダイバーズ

 

その話から2年後を舞台に始まるのが今作「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」。

GBNで生まれた電子生命体、ELダイバー達の数も増えたが共存はうまく行き再び平和なガンプラバトルを楽しむ空間となったGBN。

そこでどのフォースにも所属せず、傭兵のような活動を行う少年ヒロト

ガンプラバトルを楽しむわけでもなく、その報酬を望むわけでもなく彼はただ「何かを探している」。

自分自身を実力以上に評価する目立ちたがりのカザミに実力を買われ無理矢理誰もやったことがない新ミッションがあるというエリアに連れてこられるヒロト

ミッション初クリアの称号に興味のないヒロトはログアウトしようとするが誰も行ったことがないエリアらしいという話を聞き思い留まる。

悲鳴を聞き駆けつけると、内気な少年パルと謎のクールな少女メイそして表示されたウィンドウからは犬のような少年が助けを求めていた。

4人のダイバーとガンプラにより始まったミッション、敵を殲滅した彼らに犬のような少年フレディが言う。

「さすがビルドダイバーズのみなさんです!」

戸惑う彼らのコンソールにチーム名「BUILD DIVERS」が表示される。

何故ビルドダイバーズなのか?

このミッションは一体何なのか?

謎を抱えたまま現実世界へと戻されるヒロト

彼自身の過去と共に多くの謎を抱えたもう一つのビルドダイバーズのミッションが開始した。

 

1話から謎の多い展開ながらも他とは全く違う切り口のガンプラアニメのリライズ。

特にどんな点が珍しいのかというと

ガンプラバトルへの情熱を失った主人公

ヒロトも元はGBNにいる多くの人たちと同じようにガンプラを愛しガンプラバトルを楽しんでいた。

ヒロトガンプラ製作技術、操縦技術は非常に高い。

過去作だともともとガンダムが好きでガンプラを作っていたり、ガンダムに詳しくないがガンプラバトルの魅力にはまり好きになっていくキャラが多い。

ヒロトはそのどちらでもなく、いやそうであったキャラだ。

幼なじみのヒナタからもガンプラに情熱を注いでいた頃からの変化を心配されている。

何故ヒロトガンプラへの情熱を失ったのか?はストーリーを通して最も大きい要素の一つになっている。

ガンプラの楽しさを前面に出してこない

言ってしまえば販促アニメ、このおもちゃはこんなに楽しいんですよという点が推されるのが一般的。

しかし①の通り主人公は情熱を失っており、またチームのメンバーもガンプラに慣れた面々。

初心者的な「それが楽しいという気付き」=「新規顧客への共感」が全くない。

無論ガンプラが激しく戦いかっこいい。

だがそれはそういうものだからで流され「ガンプラって楽しい!」というものではない。

ある意味「普通のガンダムアニメ」に近いノリで描写されていく。

これは目標という意味でも言える。

通常のガンプラアニメは「大会での優勝」や「追いつきたい誰か」などの目標が設定されそれに向けて製作技術や操縦技術を向上させたり仲間を増やしたりして困難を乗り越えていく。

リライズは「謎のミッションに偶然集まった4人が参加しました」というだけ。

行動原理としてもチーム全体としての目標はあってもメンバーそれぞれの思惑はカザミ以外ぼんやりしている。

ヒロト→何かを探している(その何かは不明、金髪の女の子に関連するもののようではある)

カザミ→誰もクリアしてないミッションをクリアすることで名声を手に入れようとしている

パル→???(ヒロトの実力に感動しているようではある)

メイ→???(全くの謎)

チームビルドダイバーズ→ミッションをクリアする

 

これらから1話の時点でどうやら普通のガンプラアニメではないな?ということがわかる。

そうして見進めていくとだんだんとこの話でやりたいことがわかってくる。

カザミはヒーローは常に強くかっこよく勝つことが大事だという思い、そして自分がそうでない状態を認められない弱さがあった。

パルは飛行機事故で歩けなくなったため自由なGBNの世界であっても空を飛ぶことに恐怖を覚え、上手く操縦できないためチームの足を引っ張っていると思いつめていた。

メイはELダイバーであり、運営からの要請でGBNログイン後意識不明となったダイバーに関する調査を行なっていた。

 

彼らが抱える弱さや悩みをチームのメンバーや惑星エルドラの住人達との交流により突破していく成長の物語であると同時に、ヒロトが過去を乗り越える(再起する)ためのお話だった。

 

話が進むにつれ彼らが参加したストーリーミッションだと思っていたものは現実世界で宇宙のはるか彼方にある本物の惑星での出来事であることが明らかになる。

NPCだと思っていた惑星エルドラの住人達は実際に生きているのだ。

何故かGBNと繋がり向こうで実体を持ち動けるようになってしまっただけでありチームビルドダイバーズが助けてきて、また助けられなかった人たち全ての命の重さといつ戻れなくなってもおかしくない(メイの探している意識不明者と同じように)ことを伝えられ戸惑うヒロト、カザミ、パル。

 

かつてヒロトと一緒にGBNで過ごした少女。

もういない、データに消えてしまったあの子との思い出はただの記録でしかないのか?

得たものも失ったものもただの記録に過ぎない、本当にそうなのだろうか?

それでもあの子を失ったことに、あの子と交わした約束を守れなかった自分にヒロトは傷付いている。

ただの記録なんかじゃない。

過ごした時間も、感じた気持ちも全て自分を作っている。

「これからも、誰かのために頑張れるヒロトでいてね」

確かに感じたものがある。確かに無くしたものがある。

大切なものをまた失わせない、大切な約束を今度こそ守る。

「だから繰り返さない。この胸の痛みは本物だから。」

https://www.gundam.info/special-series/gundam-power-word/01_1290.html

ヒロト達は再び集まり今度はGBNのミッションをクリアするためではなく、エルドラをそこに住む命を救うため立ち向かっていく。

 

お気づきでしょうか。

もう完全に従来のガンプラアニメではなく実際に命をかけた作戦になっています。

実際にヒロトくんはエルドラで負った傷が現実世界でも現れているのでエルドラで腕を失えば現実でも失うし、死んでしまえばそれまでだろうことが示されています。

 

しかし、このアニメは外傷ではなく内面をえぐってくるのでした。

敵の親玉アルスはGBNのデータを閲覧しそこにあるヒロトの記録から自分用の機体アルスアースリィガンダムを作ります。

ヒロトの乗機コアガンダムとアースアーマーが合体したアースリィガンダムをベースに狙撃が可能な装備をつけたその機体だけでもヒロトには精神ダメージゴリゴリに与えられます。

その理由はヒロトと消えてしまった少女イヴの思い出にある。

 

GBNがサービス開始した当初、ヒロトはコアガンダムでログインしたが前のガンプラバトルとの差にモチベーションが下がっていた。

そこに現れたのがイヴだった。

ヒロトはイヴと出会い過ごすことでGBNでの楽しさを感じていた。

そう、それは前作ビルドダイバーズのリクとサラのように…

しかしビルドダイバーズでもあったようにELダイバーは当時のGBNにとってはバグを誘発させる存在でしかない。

イヴはサラの存在を知り自分が好きなヒロトが好きなGBNを守るため、彼女を生かすためELダイバーの影響で起きるバグを自分の中に閉じ込めていた。

いつかこの地上から太陽系を越えて宇宙の向こう側まで行ってみたい、そんな夢を語りながら笑い合ったヒロトとイヴ。

ヒロトは自分のガンダムに星の名前をつけることにし最初に作ったアーマーを地球、そして地球は3番目の惑星であることからアースリィガンダムと名付けた。

しかし幸せな日々は突然終わりを告げる。

イヴがバグを封じ込めるのにも限界がきたのだ。

ヒロト、私を消して欲しいの」

わけもわからずただそうするしかできることがないヒロトはイヴの願い通りコアガンダムでイヴを撃ち抜く。

イヴが抱え込んでいたバグはこれにより消滅し人知れずGBNは救われた、ただヒロトの心に傷を残して。

その後程なくして運営からGBN全体へ連絡が入る。

『最近頻発しているバグの原因を発見した。

その対処のため有志連合を再結成しELダイバーの脅威を排除する。

ご覧のようにELダイバーの身柄を確保している。』

それは自分が命を奪ったイヴの妹ともいうべき存在であることはわかりながらも落ち込むヒロトはどう行動するのかを決められなかった。

そして始まる第二次有志連合戦。

サラの存在をかけたフォースビルドダイバーズ一派vs有志連合(フォースアヴァロン、フォース第七機甲師団を中心とした連合)の戦いはその圧倒的戦力差から有志連合の勝利が硬いと思われていた。

しかし戦略やビルドダイバーズ一派への増援から戦いはビルドダイバーズの主人公リクと増援vsアヴァロンのリーダーであるGBNチャンピオンに託される。

GBNを守るためELダイバーのサラを消さなければならないとする有志連合側の主張に対しビルドダイバーズは訴える。

「俺たちは諦めない」

「人やガンプラといろんなことをしてきたGBNが大好きでそこで出会えたのがサラ」

「サラと出会っていろんなことを経験してきた」

「ELダイバーは私たちのガンプラを愛する気持ちから生まれた存在だから、自分たちの好きを自分たちで否定したくない」

「俺たちは、俺たちの好きを諦めない!」

チャンピオンを倒し、満身創痍の機体でサラの元へと向かうリク。

チャンピオンがやられるという事態に有志連合はパニックし誰もカバーに回れない、アースリィガンダムで壊れた武器の代わりに狙撃用の武器を構えて待機していたヒロト以外は。

リクに照準を合わせるヒロト

 

GBNが大好きでそこで出会えたのがサラ / イヴだってそうだった

サラと出会っていろんなことを経験してきた / 俺だってイヴと出会い経験してきた

自分たちの好きを自分たちで否定したくない / 俺は自分の手でイヴを撃った

俺たちは、俺たちの好きを諦めない / どうして俺にはイヴを救えなかったんだ

 

どうして君には救えるんだ

 

感情のままリクへ撃とうとしたその時、イヴの最期の言葉が浮かんだ。

「これからも、誰かのために頑張れるヒロトでいてね」

ヒロトは自分のやろうとしていることがイヴとの最期の約束さえ捨てたものだと悟り砲身を地面へ向け、その瞬間発射された。

吐き出された感情は大地をえぐり、しかし誰にもその真意が伝わることがない。

あんなに大切で、特別に思っていた人を守ることができずその最期の願いすら守れなかったことが癒えない傷になりヒロトを苦しめ続けたのだ。

 

話戻りますがそこに当時の装備(元になってるのはイヴと作り上げた思い出の機体でもある)を再現し「これ(重要な戦局でちゃんと標的を撃てる)が完璧なあなた」なんて言われた日には感情壊れますよ(まぁそうされたんですが)。

 

大切な人を守れずその最期の願いすら守れなかった自分が他人のために何かできるかなんて、俺はこんなにもどうしようも無いやつなんだと嘆くヒロト

しかし周りのみんなは知っている。

彼が頑張ったからエルドラで救われた命があることを、彼がいたから変われた自分がいることを、彼の行いがなければ自分の存在(ELダイバー)がなかったことを。

彼女が残した思いはヒロトの行動やその結果としてこの世に残っている。

 

存在と無の地平線概念ですわぁ……

誰かがいなくなってもその誰かがいた証拠がこの世のどこかに残り続ける……

 

以上がこれまでのリライズで、5000文字も使って何が言いたかったかと言えばリライズめっちゃ面白いので是非見て欲しいってことです。

あと6話なのでフィナーレをリアタイで迎えられるチャンス。

毎週木曜夜8時更新なのでお楽しみに。

 

ついでに主題歌の歌詞がヒロトくんの心情に添いすぎてて辛いのと、1期のED映像があまりにヒナタちゃんなので好き

https://m.youtube.com/watch?v=DI0znknPOv0