NRRW雑記

あれが面白かったとか、これが美味かったとか、楽しかったとか嬉しかったとかそういうの残ってるといいかなって思ったので書きなぐってます

夏はポケモン、冬は呪術廻戦

仕事を辞めてから約1年が経ちました。

考えれば考えるほど一般的な労働に対する嫌悪感が強まる今日この頃ですがそう、「労働はクソ」といえば呪術廻戦ですね。

 

呪術廻戦、今日本に住んでいてこのタイトルを聞いたことがないという人はおおよそいないでしょう。

2021年12月24日より劇場版呪術廻戦0が公開となりましたがこれが大変美味しゅうございましてそのことを書き連ねます。

 

①そも呪術廻戦とは何か

ざっくり言えば人の負の感情から生まれる「呪い(妖怪みたいなもの)」を呪術師が祓う物語です。

呪術師はそれぞれの術式を持っておりそれを呪力を使って発動させることで呪いに対抗します。

呪いを持って呪いを祓う、そして呪いとは人自身から生まれ人の手で処理される。

まぁわりかし王道な能力バトルですね(かんちがいするな、王道は楽しい。何故なら王道だからね)。

しかしそこに人が人を思うことも呪いの一種であるという人間ドラマ、何故そのキャラはそう行動するべきなのだろうか?という問いかけとその命題が気持ちのいい配分で調合されていることで大変美味しい物語になっているわけです。

 

正しい死とは何か?これはそうか?

何故自分は人を救うのか、お前を救おうと思ったのか

こいつらを守ることに意味はあるのか、意味がないなら自分が本当に行うべきことは何か

自分の役割とは何か、失われたものの意味とは何か、何が受け継がれていくのか

 

キャラクターの思想によってストーリーが展開されていくのは気持ちがいい。

 

②呪術廻戦0とは

呪術廻戦は週刊少年ジャンプで連載を始める前に別冊で短期集中連載という形で誕生しました。

それが今呪術廻戦0となっている「東京都立呪術高等専門学校」です。

それが好評だったので本誌での連載となり、この短期集中連載はその前日譚として単行本になりました。

単行本1冊で完結しているため試しに読んでみてとも言いやすく呪術廻戦への足掛かりとしてめちゃくちゃ重宝してます(短いと勧めやすいので打ち切り漫画は勧めやすいとか今そんな話してないだろ それはそれとしてお前もシューダンを読まないか?)。

 

ストーリーのあらすじはざっくりと以下の通り。

主人公乙骨憂太は引っ込み思案の普通の高校一年生。

ただ一点、幼い頃結婚の約束をしたが事故で死んでしまった祈本里香に呪われていることを除けば。

祈本里香は家庭にこそ問題はあったが家系的にもどこにでもいる普通の女の子なのに有り得ない程強力な怨霊、『特級過呪怨霊』として成立してしまっている。

乙骨に手を出そうとすると里香は顕現しその相手を乙骨への愛ゆえに容赦のない攻撃を加え、乙骨の意志では止めることができない。

これを呪術連合の術師が祓うため派遣されたが全て返り討ちにあってしまい取り憑かれている対象を葬ることで祓うという乙骨の秘匿死刑が決定された。

しかし、特級術師にして呪術高専の教師五条悟はこれに反対。

「正体不明の特級過呪怨霊に対処するに際して乙骨憂太に呪術を学ばせ祓うのではなく呪いを解く」という方法を自身の下で行わせていくことを提案する。

乙骨憂太は自身の存在のため、里香のために呪術を学びこの呪いを解くことを決意する。

 

その後同級生のキャラたちと関わっていく中で乙骨の自己肯定感の高まり、その高まった理由に起因する乙骨憂太の戦いが描かれていくわけですがそれと同時にこの作品(呪術廻戦全体ではなくこの0におけるという意味)でのラスボスである夏油傑は五条悟と同級生であり俗に言えば闇堕ちした存在であることが明かされます。

作品における大きな対立の関係性が乙骨⇔夏油と五条⇔夏油の二本立てなわけです。

1つより2つ。面白くなるわけなんだなこれが。

(当然ですが乙骨と里香の関係も大変美味しい。純愛です。)

 

でここからが本題なんですけど劇場版としての呪術廻戦0はここを強化しているんです。

 

③劇場版呪術廻戦0の強み

当然の話ですが呪術廻戦0が漫画として描かれた当時はたった4話で終わる話だったわけで乙骨憂太を中心に描かれる以上五条悟と夏油傑の関係性の深掘りなんかしてる暇がないわけです。

しかし、この劇場版呪術廻戦0が作られる段階では世界観に対して単行本にして10冊以上の追加情報が得られています。

 

そう、今だったら明かされているあれこれを全部組み込んだ呪術廻戦0が作られたわけです。

五条悟と夏油傑の決別のストーリー(懐玉/玉折)を組み込んだり新宿・京都百鬼夜行ではあのキャラが活躍したのかな〜→したよを見せてきたり乙骨が黒閃をきめたり術式でけりをつけに行けない五条はどうするのかをやったり……

 

中でも最も大きいのが五条悟と夏油傑の青い春描写をふんだんに、しかし細心の注意をもって入れてきたことでしょう。

懐玉/玉折は原作ではアニメの1期でやった内容の直後なためまだアニメ化してない内容にまで踏み込んだ描写が織り込まれていたわけです。

これにより元々の柱である乙骨憂太の物語は損なわれないまま五条悟と夏油傑の物語としての完成度が格段に高まり結果として「愛ほど歪んだ呪いはない」「呪いを祓う」という乙骨憂太の物語の成分も補強され化学反応がビックバン、もうブチ上げ極上風味になったんですわ。

 

長期連載をこんな風に活かせる場面もあまりないでしょうがあまりに上手い使われ方だったため物語以外での感動まで与えてくれる劇場版呪術廻戦、真剣感謝な…!

(ジャンプアニメはだいたい本編に追いついてアニオリを入れてくるがアニオリはおおよそつまらないというのが歴史的に存在している

ワンピースもナルトもBLEACHもリボーンもみんなアニオリを入れてきた)

 

話題性も抜群、内容も最高、今後の展開も楽しみな呪術廻戦を劇場に見に行ってね。