NRRW雑記

あれが面白かったとか、これが美味かったとか、楽しかったとか嬉しかったとかそういうの残ってるといいかなって思ったので書きなぐってます

僕もウルトラマンっていう個人が好きになったよ

ドンッ カ~~

グググキィイィィィイィィ

トコトコトコトコトコ

ドンッ カ~~

トコトコトコトコトコ

キィイィィィイィイィィィイィィン(巻き戻しが終わる)

 

デンッ タァ〜〜〜〜(赤バックに白文字でタイトル)

 

 

シンゴジラ→シンウルトラマンじゃないんよ

開幕で笑かすな

 

2016年、シンゴジラが公開されると多くの人に楽しまれ話題となりましたね。

そして2022年5月にシンウルトラマンが公開されました。

シンゴジラが人の業から生まれた災害を前に人々が思惑を超えて自分達にできることを必死に取り組み人類が歩むべき王道を実現しようともがく割と人間ドラマが中心の映画だった(まぁゴジラは喋らないしコミュニケーションが取れない以上目的も推測のものでしかないため人間たちが物語を引っ張るしかないという構造なので)のに対し、シンウルトラマンには

①地球の外からやってきて地球人と一体化し地球人を守ってくれるようになるウルトラマン

②なんらかの理由で暴れ回る禍威獣(怪獣ではなく禍威獣というのが今作の設定)

③なんらかの理由で地球侵略に来た外星人

④上記に対応する地球の人類

と多くの要素がありそれぞれの関わり方を変えるだけでさまざまな方向へ舵を取れます。

特に今回の映画では「何故ウルトラマンは地球人の味方をしてくれるのか?」「何故外星人は地球侵略をするのか?」「ウルトラマンと人間の関係とは?」という点を中心に物語を展開していく印象でしたね。

 

1.何故ウルトラマンは地球人の味方をしてくれるのか?

初代ウルトラマンは暴れている怪獣を護送中に逃亡されそれを追う形で地球にやって来たもののその地球で科学特捜隊として平和のために活動していたハヤタと衝突してしまい命を奪ってしまったため自身と一体化し命を共有することとなりました。

善意と贖罪でハヤタの仕事を代わりに行ってくれたのが初代ウルトラマンというわけです。

その後は地球を守るために、光の国から僕らのために来てくれるようになるわけです。

対してシンウルトラマンでは禍威獣を倒すために地球に飛来したがその際の衝撃により逃げ遅れた子供を庇った神永を死なせてしまったことが理由となりますがそれは贖罪ではなく「命を使って他の生命を守ろうとした人間という生き物に興味を持ったから」です。

神永の姿を使い人間社会に入り込んだウルトラマンは地球人の物の考え方を吸収していき俗に言えば「どんどん人間を好きになっていく」のです。

ウルトラマンという外星人にとって人間は「宇宙の一つの星にいる未発達な現住生物」から「友情を感じその考え方に感銘を受ける存在」になるわけです。

本家ウルトラマンシリーズとは異なりこれは「ウルトラマン個人がそう感じてくれた」というだけのもの。

本来の目的は地球を守るためではなく地球で目覚めた生物兵器の鎮圧です。

宇宙の平和を守ることを使命とした正義の味方ではなく個人的感情による人類の味方なんですね。

人間←長命人外生物 の図になりましたね。

この個人的感情は他の侵略外星人や同じく光の国からやってきたゾーフィ(ゾフィーではない)とも対比されていきます。

 

2.何故外星人は地球侵略をするのか?

そもそもなんですけどウルトラマンシリーズの宇宙人たちはみんな地球侵略を行うにあたって地球侵略そのものが目的のものと目的のための手段として地球侵略を行う場合があります。

「この全宇宙を我々の支配下に置くのだ!!」という野心溢れる宇宙人もいれば「母星が滅んだので安住の地として地球を貰います」といった理由ありの宇宙人のいるわけです。

今回シンウルトラマンに出てくる外星人はウルトラマン以外に3人いてそのうち侵略を目論むのは2人なんですがこの2人も上記とは違った意味で対照的でした。

ザラブ星人

地球を資源として入手するため。

人類なんて未発達の現住生物に興味はないがわりかし知性があるので不平等条約を結ばせながら共倒れさせていけば自分が手を下すまでもないなという考え。そのためにはウルトラマンが邪魔なので地球人にウルトラマン抹殺計画を承認させただ1人の外星人として地球を手に入れるつもりだった。

しかし神永(ウルトラマン)が想像していないほど地球人を信頼し、地球人がザラブ星人が思っていたよりも知性を働かせて行動したことでウルトラマンからの反撃を受け友好的な外星人ではなく侵略外星人であると暴かれ戦いの末倒された。

 

メフィラス星人

地球に存在する全てをそっくりそのまま自分の下に置くため。

メフィラス星人がβシステムを人類に提供することで全人類70億がウルトラマンに近しい強大な力を持つことができるという人類にとって美味しい提案を行い人類に寄り添った態度を取る(人間社会の文化や制度、食生活などに理解と関心を持つ)。

しかしそれは隣人として見ているのではなく資源として見ているもの。

外星人の科学力をわざと人類に研究させ「我々にはどうあっても敵わない存在がいる」という意識を植え付け言ってしまえば神として地球に君臨するのがメフィラス星人の地球侵略。

そして光の国の干渉を避けるため上記のように人類に自らその道を選ばせる(ウルトラマンはこれによりザラブの件と違い自身に降りかかった火の粉を払うような対処はできず、侵略ではなく地球人とメフィラス星人がそういう外交を行ったという状況において部外者になり光の国の決まりで手が出せない)という知性的な侵略計画を立てた。

しかしウルトラマンは地球人のために本来できないはずの対処を行いメフィラス星人との敵対を開始する。

メフィラス星人はこの段階で事情を正しく理解できていない地球人からすると「友好外星人との外交を力づくで邪魔してきたウルトラマンに対処してくれた」という風に映る、賢しい。

地球人と一体化していることでエネルギーの消費が激しいウルトラマンは劣勢に立たされるがそこに光の国からやってきたゾーフィの姿を確認すると「ウルトラマンを倒すことは容易いが光の国との敵対関係を作るのは収支が合わない」と考えたか戦いをやめ地球を諦め去っていった。

 

ザラブ星人のケースは非常によくあるウルトラマン的解決という感じがするがメフィラス星人のケースは物語の発端となりながらも(禍威獣たちが暴れ出したのはメフィラスによる「人類だけの力では対処しずらい、不可能な状況を作り出す策略」だったことが仄めかされている)この後の展開「親地球人思考は光の国の普遍的な考え方ではなくウルトラマン個人の考え方」というものに繋がっていきながらもザラブ星人より手法も考え方も遥かに格上の相手として描かれていて見応えがすごい。

ザラブ星人はザ・宇宙人そのままって見た目を常に取っているのに対しメフィラス星人は見た目を人間にするのはもちろん名刺を作ったり人間が使用する書類の形式で考えを見せたり(人類にはできないホログラム投射で科学力を見せつけながら)、ことわざを使ったり地球の文化に対するリサーチ力が高い。

役者の怪演もあり人間の見た目をした人間ではない人間のように話しかけてくる何か感がやばい。

メフィラス星人見るためにシンウルトラマン見てもいいと思う。

 

話を戻すんですが

外星人に関して一貫しているのは誰も彼も「地球人を対等な存在だなんて欠けらも思っていない」ことです。

ザラブは圧倒的優位な条約を結ばせながらも人間とか邪魔だし最終的には全滅してほしいなんて考えてますし、メフィラスも親しみを持って接してきますが人間たちにとっての上位存在として君臨することが目的です。

そして光の国から来たもう1人、ゾーフィも「人類はβシステムを用いれば強大な戦力となることが知れ渡ってしまった。今後様々な勢力がこの地球へ人間を資源として求めにくるだろう。だから後顧の憂いを断つために地球ごと全人類を滅ぼすことにした。我々が確認している130億の知的生命体のたった1種が滅びるだけだ、宇宙は何も変わらない。」と宇宙の平和のために滅菌作戦することを何の感情もなく決めてしまいます。

それぞれ目的はあるけれどウルトラマンと他の外星人の違い、味方になってくれるのと侵略や殲滅の対象としてくるその差はこの地球人に対する意識の差なんだろうなと思いました。

政治的な話じゃないよ。

 

3.ウルトラマンと人間の関係とは?

ウルトラマンシリーズには有名な話があります。

それは「ウルトラマンは神ではない」というものです。

ウルトラマンたちは空を飛び、ビームを出し、名前の通り超人的な存在です。

それでも全てを救えるわけではなく他の生命、人間と同じように状況に対し精一杯できることをしているだけなのです。

そのためウルトラマンシリーズにはちょっとビターな展開が度々挟まれます。

自らの無力さに打ちひしがれ守れなかった自分を許せずある怪獣に対する無慈悲な復讐者となったウルトラマンや自身の強大すぎる力を制御できず大切な人を巻き込んでしまい本来の力を忌避するようになったウルトラマンなんかもいます。

最近のだとウルトラマンルーブの「さよならイカロス」が「ウルトラマンは超人的な力を持っていても全てをどうにかできる存在ではない」みたいな終わり方として話に上がる印象ですね。

 

「そうは言ってもウルトラマンの力により毎話毎話事態が解決してるんだろ?」と言われたらまぁ確かにその通りです。

でもそれでウルトラマンがいれば人間が何かする必要ないじゃんというのは違うのです。

ウルトラマンは手助けをしてくれているだけなのです。

我々人間が当事者として頑張ることが大事なんです。

無力なのではなくただ今はまだ届いていない足りていないだけ、それが人間自身のそしてウルトラマンからの評価なんです。

シンウルトラマンの作中でもゾーフィが地球を滅ぼすために起動したゼットンに立ち向かったウルトラマンが敗北したことで地球人たちが絶望しますがウルトラマン本人は地球人の可能性を信じ情報を託します。

その情報をもとに地球人たちは知恵を結集させついにウルトラマンだけでは歯の立たなかったゼットンを対処する方法を見つけ出します。

それはほとんどウルトラマンの犠牲が前提となる作戦でしたがウルトラマンはそれを快諾しそのために命を使っていいと言い切ります。

作戦の結果ゼットンの対処に成功しますがウルトラマンは別世界に閉じ込められてしまいます。

そしてそこにゾーフィが救出に来てくれるのですが傷ついた体を癒すためにも人間との一体化という禁忌を犯してしまったことを裁かれるためにも光の国に帰る必要がありそのためには命を共有している神永も一緒に連れて行かなければなりません。

それにウルトラマンは反対し自らの命を捨てても神永の命を優先し、仲間たちの元へ帰してやりたいと願います。

人間の素晴らしさと可能性への強い思いは宇宙の秩序を第一に考えるゾーフィの心を動かしあの言葉を出させるのです。

そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン

ウルトラマンが人間を好きになってくれたこと、その結果「自分より弱い存在のため命を投げ合った神永と同じ行動をウルトラマンが選択した」こと、ウルトラマンが人間の未来その可能性に大きな影響をもたらしてくれるであろうことがこの物語の終わりになるわけです。

ありがとうウルトラマン、君という1人の外星人が僕たち人間をそんなにも好きになってくれたことすごく嬉しいよ。

やっぱりウルトラマンは俺にとって永遠のヒーローなんだなと再確認できた。

数々の細かいネタも楽しめた。

いきなりシンゴジラのスーツ改造してゴメスにしましたは笑うでしょ。

ウルトラマンのスーツが変わったのは人間と合体したからっての結構上手いなと思ったしそれによって赤が混じってまるで「血が通った」ようになるのもいいなと。

ウルトラマンとのアイコンタクト、ファンはみんな好き。

隊長の部下への信頼がデカくてほっこりした。

戦闘はちょっと気取ったところあったけどおおむね満足。

間に立つ者、概念が好き。みんなも好きだろ。

「人間なら大丈夫」っていうウルトラマンからの信頼が向けられるのアツすぎるんだよな。

痛みを知るただ1人なっちゃうの涙出ちゃう。

 

 

 

 

 

ここまで褒めたが

個人的にはやっぱりちょっとモヤりポイントもあります……

5.0つけるつもりで間に合ったので4.6になったのはちょっと残念でした。

 

本家では光の国には命を物質化できる技術があるためゾフィーは命を二つ持ってきてくれてウルトラマンとハヤタ両名が生還できます………

僕はエンタメ的にはそっちの方がいいかなって思いました……

シンゴジラ、シンエヴァが驚くほどエンタメしてきたのでシンウルトラマンも勝手にそうなると思い込んじゃってましたね。

でも前述したように理解できないからこそ興味を持った行動をウルトラマン本人が取ったという終わり方は構造的な美しさがあり心が二つに分かれる……

 

あと長澤まさみ関連の描写がちょっと叩かれてますね。

まぁ尻叩くのは彼女なりの発破のかけかたなんだろうなと思ったので別に気にしてないですし、巨大浅見のシーンも巨大に見せるために下からアングルになるのは特撮ではよく使われる技法なのでまぁスカートの女性ではあるがパンチラ撮りに行ってるわけでもないんだからそんなめくじら立てるほどじゃないなと思いました。

ただメフィラスの思惑を止めるために浅見の匂いを神永がかぐシーンはこんな尺取る必要あるか?とは思いましたね。

別にそこまでしなくてもメフィラスの「そんな変態的行為」の納得性は下がらんと思うんよ。

 

モヤッたのはそれぐらいです。

おおむねおすすめです。