WHITE ALBUM2 introductory chapter
ジャンルはノベルゲーム、と言えばなんとなく察しはつくだろうがマルチエンドだ。
異なるヒロインたちと仲良くなり、様々な終わりを見ることができる、まるで並行世界の観察者となった気分にさせられるタイプのやつだ。
そこに、このゲームは縦の要素が加わっている。
①introductory chapter
②closing chapter
③coda
の3つの時間があり8つの終わり方を迎える。
これがもたらした物語上の最も大きな影響は「対比」だ。
似た状況をあちこちに作り出すことであの時と同じ失敗をしたり、あの時できなかったことを成し遂げたり、このキャラではこうなるといったことを非常に多く作り出している。
それらが複雑に絡み合っているのにお互いを邪魔していないのが非常に美しい……
構成力っていうのはこういうのを言うのかね。
読んでて気持ちよかった。
システム的な楽しみはこのあたりにして本題のストーリーを。
今回はintroductory chapter。
これには分岐が一切ない一本道だ。
逃げ道はなく、そして最初に破滅が示されている。
容赦ないな、書いたやつ。
春希と雪菜とかずさが出会い、いろいろな思いを交差させながらもライブを成功させ、2人がくっつき1人が苦しみ、それでも3人の関係は続き、そしてついに壊れた話。
この話でたぶん一番致命的だったのは雪菜とかずさがお互いに同じ気持ちを相手に持っていたことだ。
「勝てない」「好き」「妬ましい」「ごめんなさい」…etc
どっちかに偏りがあったならこうはならなかったのかもしれない。
間違いがあったのなら、一体どこからだったのか…
かっこつけ続けたかずさ?
思いを告げた雪菜?
決断を下してから裏切った春希?
1人でもそうしなかったのならああはならなかった。
その時は誰かが傷つき、他が幸せになったのかもしれない。
でもそうはならず、誰もが悪くて、誰もが傷ついて、誰も幸せになれなかった。
ここが全ての始まり。
1人が2人になりやがて3人になった。
3人は3人のままでいられず、1人が去って1人と1人が残された。
これだけ聞くと恋愛ものバッドエンドの手本みたいだ。
だけどさっきも言ったとおりこれは始まりだ。
物語は続く。
introductory chapterが薄いとは言ってないけど、やっぱ比較するとclosing chapterが内容濃すぎて(introductory chapterという前提があるからこその濃さであることを念のため、もう一度)なっかなか書き終わらないから先にここだけ。
もちろん、前提条件であるがゆえにその後の分岐と比べればそりゃ量は少なくなるので語る内容も少なくなるんだけどそんな導入だけでアニメ化されてるからやっぱりすごいんだわ。
たぶんこれだけ読むと雪菜のこと嫌いで終わると思うんだけど雪菜についてはclosing chapterからが本番なのでその後もやってくれ。
あと前に書いたけどこのゲームトラウマをえぐられるので精神状態がいい時でないと書くのもしんどい。
俺が愛してる誰かに抱かれながら泣きたい。
このゲームをやってからその欲望は常につきまとってる。
なんだこのゲーム。