仮面ライダーアマゾンズ season2
「死にたくねぇって思ったことあんだろ」
「毎日ですよ」
「生きたいって思ったことあるか?」
「えぇ?おんなじでしょ」
仮面ライダーアマゾンズはAmazonプライム・ビデオオリジナル作品。
season1をざっくりと解説すると
・人間のタンパク質が好物のアマゾン実験体4000匹が事故で野に放たれた(普通のタンパク質でも生きていけるが人間の味を覚えたアマゾンはもう戻れない/食欲に勝てない)
・アマゾン実験体を作った野座間製薬はこれを秘密裏に処理するため駆除班を設立しアマゾンたちを狩っていく
・野座間製薬の重役である水澤令華は自身の遺伝子とアマゾン細胞を掛け合わせ第3のアマゾン、水澤悠(仮面ライダーアマゾンオメガ)を作り出す←season1の主人公
・アマゾン実験体たちを作り出した張本人である鷹山仁は自身にアマゾン細胞を取り込み第2のアマゾン、アマゾンを狩るアマゾン(仮面ライダーアマゾンアルファ)となる
・人間として生きてきた水澤悠はアマゾンに目覚めたことで駆除班に合流しアマゾン実験体たちを狩っていくなかで自身の立ち位置を考えるようになっていく
・鷹山仁は唯一の協力者、泉七羽と共にアマゾンを狩っている
・死者にアマゾン細胞を加えた第4のアマゾン、シグマタイプが作られ、悠と仁は協力してこれを無力化するが、これまでの経験からアマゾンも命だと考えるようになった悠はアマゾンを殲滅するトラロック作戦を機に駆除班から離脱、生き残ったアマゾンたちと共に去る
という話だった。(長ぇよ)
まぁseason1もグロテスクな表現がなかなかにあり話も安定の小林靖子でよかったよ?
命のあり方について考えるの楽しいし。
でもこれから書くseason2は最高だ。
なんたってボーイミーツガールだからね。
容赦のない話は楽しい。
①キャラクター
まずは主人公の千翼。
彼はアマゾンに育てられた少年であり、自身を人間であると主張するが彼は仮面ライダーアマゾンネオに変身し駆除班チームXの一員としてアマゾンを狩り生活している(当然の話だがアマゾンズの世界で仮面ライダーとはベルトを使ってアマゾンの力をより制御しつつ引き出す者たちのことであるため、変身できる=アマゾンである、悲しい化け物だね)
日頃はアマゾンとしての本能を忌避するため食事という行為そのものを組織から提供される栄養ゼリーで補っている(咀嚼がダメなんだろうね、クレープ食べて吐いちゃう子だよ)が、女性の腕を見ると強い興奮を覚えアマゾンとしての本能(人肉食衝動)に駆られてしまう。
要約すると
「人間として生きたい化け物」
次にメインヒロインのイユ。
彼女は「死体にアマゾン細胞を入れられ甦らされた元人間」、前述したシグマタイプのアマゾンであり、感情を失い自由を失いただアマゾンを狩る道具として駆除班にいる少女だ。
彼女を見た千翼は初めて「食べたいと思わない、純粋に守りたいと思える存在」だと思えた。
イユといることで「普通に生きられる」と思い彼女に接触していくが、イユは命令に従うのみで人間らしいところが全くない。
怪物の方が人間らしいなんて皮肉だね(それでもお前は怪物だ)。
何故彼女がこんな目にあってるのかはこの話の根幹となるキーワード「溶源性細胞」について説明しないといけない。
他のキャラは全部愛の逃避行の邪魔だと思っていただいて結構です(長瀬以外)。
②溶源性細胞
短くまとめると「人間に感染するアマゾン細胞」。
これにより1st seasonでは一部のイレギュラーやシグマタイプを除き上限が定数だったアマゾンがいつどこから発生してもおかしくなくなってしまった(地獄)。
2nd seasonでのストーリーはおおよそ
①アマゾンの駆除(元のアマゾン、溶源性細胞によりアマゾンになったやつ、イレギュラーども)
②溶源性細胞の出所の特定、排除(溶源性細胞は伝染しないため、オリジナルがいる)
を中心に動いている。
ある日突然隣の人が人食いの化け物になる恐怖、一体何が原因なんだ…
そしてイユの過去についてなんですが、まぁ父親が誕生日パーティーでいきなりアマゾンになってママもお姉ちゃんも自分も食い殺したからこんな目にあってるんですね。
溶源性細胞絶対ぇ許せねぇ…!!
そんな殺伐とした状況下で女の子のために頑張ってる千翼くんに速報です!
溶源性細胞のオリジナルの一部が手に入りました!やったね!
で調べてみたら君の細胞と一致したよ!!!
そうだよ、お前だよ。
じゃあちょっとこっち来てもらおうか。
③愛の逃避行
そんなわけで全ての元凶が千翼だとわかり(主人公やぞ)、話が通じるうちに穏便な方法で解決を図る組織(研究に使いたい)(映画やドラマでその手の危険物を取っておこうとして成功した試しがない)。
冷凍保存する容器に入れられた千翼が最後に見たものはイユ。
ここでおさらいです。
千翼がイユに惹かれた理由とは?
そう、「食べたいと思わなかったから」ですね。
これ、つまるところ「本能的には欲していない」からですね?(本能的には人間=エサに見えてない)
しかし、ここまでの思い出がそれを変えてしまう。
「イユともっと一緒にいたかった」という思いが、愛という本能が、彼女を求める。
「俺…今、初めて、お前のことが欲しいと…!」
目醒めたオリジナルの力、地獄とはこのこと。
千翼は本能のままにその場にいる人間たちを虐殺する。
もはや保存などとは言っていられなくなった組織は千翼討伐を始める。
人間として接してたら本能で欲しちゃうのは当たり前だけど、お前が本能で欲したらそうなっちゃうもんね、可哀想だね、お前が異形のバケモノだ。
逃げ惑う千翼、味方は1人もいない。
一緒にいた人たちも、実の父親も、人間もアマゾンも守りたいと言ってた男ならも、誰も彼も。
はい、父親って誰やねんって?
それこそがアマゾンを狩り尽くすため自らもアマゾンとなったアマゾンアルファ、鷹山仁その人だね!!
千翼はアマゾンと人間の間に生まれた存在だったわけだ!!!
今更そんな謎どうでもいいとかいいなさんな。
人に感染するアマゾン細胞、そのオリジナルの危険性は重々承知してくれたはずだがそれを産んだ母親は?どうなったのか?
こんなのを10ヶ月腹に入れてて大丈夫なわけないよな?
オリジナルは一体じゃなかったのだ…
自分で全ての決着をつけると誓い必死に戦っている父、それに寄り添った結果バケモノを産んで自分もバケモノになってしまった母、その子供。
どうすんだよこれ……
(これはどうでもいいことなんですけど、2nd seasonの水澤悠がどこか1つの味方をするでもなく自分の考えであちこちに現れ敵を倒していく様から水澤ストライクフリーダム悠って呼ばれてるの好きです)
実は一人だけ、千翼の味方をしてくれる奴がいるんですけど(さっきなんの説明もしなかった長瀬)、度々千翼のために行動してくれるわりに千翼は自分のことで手一杯で長瀬にあんまり反応しないんですよね。可哀想だね。
どうでもいいけど千翼は当然だけどまともな青春なんか送っていないのでデートするならどことかそういうのもまるっきりないはずなんだけどイユと一緒に遊園地に行く回があるよ(そこでクレープ食べて吐いた)。
おわかりでしょうか。そう、駆除班チームXのリーダーだった長瀬およびその仲間は決して千翼にとっていい奴らではなかったけれど唯一人間的に接して、その当然を与えていた存在だったわけです。そんな物語上の役割を背負っているので彼はたとえ千翼が本物のバケモノであっても人の当然として感情移入し守ろうとするわけで、千翼はそれを人間的に受け止められてないわけですね。
悲しいね、バナージ。
一対一のイユとの戦い。
イユと生きるためにイユと戦う、千翼はただ生きようとしているだけだ。
それが何もかもを犠牲にすることをわかっていながらもただ生きたいと願う。
そこに現れる父親、当然千翼を生み出してしまったその責任を果たすためだ。
戦いは父親が優勢であり、千翼もついにその命を終えるかと思ったとき、イユが動いた。
父親に殺されたイユには、千翼の痛みは自分のことのようだと感じられたのだろうか。
危ないところを好きな女の子に助けてもらえてよかったね、ここからが愛の逃避行だよ!
組織の偉い人「イユは安全装置を使って廃棄処分にしろ」
そうとは知らず一緒に逃げてる二人、教会で一息ついてイユはきっと昔みたいにパパとママとお姉ちゃんと暮らしていた頃を取り戻せるって思っていました。
感のいい人はお気づきでしょうか。
パパとママとお姉ちゃんとの記憶が繋がって思い出すものな〜んだ?
家族との最後の思い出な〜んだ?
そうです、「パパがママとお姉ちゃんと私を食べた記憶」です。
記憶が繋がってしまったイユ、平常心ではいられなくなる。
パパとママとお姉ちゃんと…
パパとママとお姉ちゃんと…
パパとママとお姉ちゃんと…私…
必死に父親に対抗しようとするイユ、当然それは死ぬ直前の感情の再現だ。
恐怖に駆られた彼女はアマゾンへと変身し教会に突入してきた組織の兵隊、千翼にも襲いかかる。
事情がわからない千翼は困惑するばかり。
イユの変身が解除され、同じ言葉を呟きはじめる。
パパが食べたのは私…
痛かったのは私…
パパが食べたのは私…
痛かったのは私…
パパが食べたのは私…
痛かったのは私…
死んだのは……
自分の一言からイユは過去の自分と繋がれたよ、やったね千翼!!!!!!(地獄三昧)
この作品はこのように「よかれと思ってやったことが巡り巡って最悪に転がる」ことがよくある。
監督、脚本家は悪魔か?
なんで、俺たちは生きてちゃダメなんだ…!
人間的なものを求めたり、取り戻したらこれですよ。
でもこいつら悪くないんだよな、生きたいと思うことが罪だなんて言えないもんな。
せめてイユの廃棄処分はなんとかしようと組織の本部に乗り込む千翼。
立ちふさがる人間は容赦なく肉塊にしていくその姿、もう人間として振る舞うことを完全にやめてしまったようだった。
結局、イユを助けることもできず逃げ去る二人。
最後の時を過ごす二人。
土のケーキを作り、もう動けないイユをおぶり彼女の思い出の歌を歌う。
父親が幼いイユをおぶって歌っていたあの曲、あの楽しかった日々を思い出す。
千翼、私楽しい
最期に笑顔を浮かべ逝った。
千翼は彼女に笑顔を取り戻せたのだ。
人間として死なせてあげられたのだ。
イユをおぶったまま進んでいくと、父親と悠、2人のアマゾンが待っていた。
君の存在は危険すぎると、全ての責任は俺にあると、だからこの手で母さんのところへ送ってやると。
千翼も納得している。でも、それでもひとつだけやり遂げたいことがある。
わかった。でも俺は最期まで生きるよ。
泣きそうな笑顔で自分の運命を受け入れ最後の戦いが始まる。
その場には燦々たる血の跡と、そして千翼とイユ2人の腕輪だけが寄り添うように残された……
どうですこのストーリー……
これ2人に焦点合わせまくったのでまだまだ全然見ても楽しいよ……
仮面ライダーアマゾンズシリーズはAmazonプライム・ビデオビデオで全部配信中だから入ってる人は是非見て2nd seasonの主題歌DIE SET DOWNのサビ前に「いやオーイェーではないが」ってつっこんでくれよな。