ANEMONE / 交響詩編エウレカセブン ハイエボリューション
寂しさに泣いたことがある人に話したい映画
エウレカセブンはとても気になってて、でもその長さから触れられてないアニメなんだけど、今回たまたま映画館で見たこのポスターが妙に刺さってそのまま前売り券を買ってしまったのが始まりだ。
エウレカセブンシリーズ自体は初めてじゃないんだけど(AOをいきなり見た 「LOSTじゃねぇ!拾え!」でオチた)流石にそのまま行くのは無謀だとハイエボリューション1を見てから行った。
ハイエボリューション1を見た感想は、「なんでこうした?????」ばかりだったんだけど、それがこのANEMONEで解消した。
ここからはバンバンネタバレしていくので見てない人はとりあえずハイエボリューション1を見て、ANEMONEを見てから進めてくれ
PLAY
FORWARD
ハイエボリューション1はエウレカと出会ったレントンが様々な失敗の末、今度こそ間違えないように自分で決断し、勝ち取りに行く話
ではなかった。
ANEMONEはひとりぼっちになった女の子たちの話。
そのかたわれ、ひとりの女の子の夢がハイエボリューション1の真相だ。
ひとりぼっちの女の子はいかにして戦っているのか、それが何よりもこの話の大事なところだ。
さて、ひとりぼっちの女の子たちの話で主役をやるというのはどういうことなのか。
まずはその主役について、彼女がいかにいい女であるかを話したい。
アネモネは本来、エウレカとの近い存在として、その模造品的な役割で出てきたキャラらしい。
しかしこのANEMONEでは彼女こそが主役である(アネモネセブンと原案にあるとかなんとか)。
テレビ版のことはよくわからないのであまり触れられないから、ここからはANEMONEを見て思ったこと(ここまでも)でしかない。
テレビ版を見たらまた何か違うことを感じるのかもしれない、が、それはその時に考えればいいことだ。
話を戻すと、今回は「アネモネの話」である。
「エウレカの話」ではない。
アネモネがアネモネ個人としてどのような生活を送ってきたかは劇中でちらほらと描かれている。
母は幼い頃に死去し、残された父も彼女を置いて逝ってしまった。
この「置いていかれる」というのがハイエボリューションシリーズでとても印象的にされている(エウレカも、レントンも、アネモネも「置いていかれた」と語る)。
私は幼少時とても体が弱く、月に一度は吐いてはそのまま家の近くの小児科で夕方まで点滴生活なんてのをしていた。
家に残っているのは家事をする母なので、母が自転車で連れて行ってくれるわけなんだけど、点滴が落ち着けば母にも他にやることがあるので一度帰ってしまう(幼いながらにそれぐらいはわかる、だから引き留められない)。
迎えが来るとはわかっていても、いずれ医師の方も帰ってくるとわかっていても、あの自分以外に誰もいない(ように感じられる)昼時の小児科は辛かった。
朝に吐くと数時間絶食しなくちゃいけないらしく腹を空かせて、甘えることもできず、腕にはよくわからない針が刺さったまま、ただ耐えるだけの時間。
思い返してもあそこには戻りたくない。
誰も悪くない、ただ辛い。寂しい。
あとで迎えにきてくれる状態でもこれなんだ。
本当に「置いていかれた」彼らの気持ちはそんなものの比じゃないだろう。
話を戻そう。
幼い彼女は父の残したアプリ「ドミニク」を度々起動している。
ドミニクは彼女の生活の一部であり、唯一残った父との繋がりだ。
たとえちょっと融通が利かなくても、ひとりぼっちになった彼女の支えであることに変わりはない。
彼女の一番いいところは、そんな身でありながらも明るく振る舞うところだ。
パンフレットによるとそういう処世術なのだそうだが、俺にはそれだけとは思えなかった。
人はひとりで生きているわけがない、いつもそう思ってる。
彼女はひとりぼっちになりはしたが、ひとりぼっちであり続けたわけではない。
周りの人達が彼女を支え、彼女も周りを支え生きてきたんだ。
彼女は顔もいいし、適度に影がありながらも明るい。いい女だ。
そうして、誰かと共に歩めてきた彼女は作戦行動でいつも「ひとり(ONEでありALONE ダブルミーン)の少女」に出会う。
エウレカだ。
エウレカはいつも泣いていた。
アネモネはエウレカセブンの中にダイブしニルヴァーシュを倒す。
これは人類のための反撃であり彼女たちのチームの悲願でもある。
しかしこのエウレカセブンの中にダイブするという行為がアネモネにとってはパンドラの箱だった。
エウレカセブンのなかでスマホのアプリではなく、実態を持ち少年の姿をしているドミニクと、父親との繋がりと出会うアネモネ。
ドミニクとエウレカ。二つの存在は彼女の奥底に眠る父親の影を少しずつ表面化させていった。
ここで、最初の話に戻ることにしよう。
「世界か、愛する人か ひとりぼっちの少女たちの、究極の選択」
この話はまさにこれなんだ。
事の発端はハイエボリューション1だ。
ハイエボリューション1では物語上大切なはずのレントンとエウレカの絡みがばっっっっさりカットされている。
俺はそれを尺の都合だとばかり思い、なにがサマーオブラブだそっちを描けよと愚痴ってしまった。
しかし、このハイエボリューション1とは自分のせいでレントン(愛する人)を亡くしたエウレカによる世界をかけた戦いの一部だった。
エウレカは何度も何度も何度も何度もやり直し、しかしその全てでレントンは死んでしまう。
その残骸こそがANEMONE世界のエウレカセブン。
愛する人のため、他の世界すらも壊してしまうような戦い。
そこにやってくるのが、ジエンドでニルヴァーシュを破壊しにくるアネモネなのだから、エウレカにとっては邪魔以外の何者でもない。
「仕返ししてやる!」
「私はあの人を救うためなら悪魔にだってなってやる!(うろ覚えで申し訳ない)」
アネモネの父はアネモネの前からいなくなったあの日、エウレカセブンにダイブしていた。
その死の直前の父を見せられればアネモネの奥にあったものは吹き出してしまう。
エウレカは邪魔をしないならこの人を助けてあげると言う。
アネモネは父のことをずっと胸の奥で思っていたけれど、父に置いていかれた(と思っている)あの日から築いてきたこの世界を壊すこともできない。
唐突だけれど、俺は子供が好きだ。
それと同じくらい子供のために動く大人が好きで、憧れてる。
子供のために動けないなら大人なんてやっている意味がないと思う。
アネモネの父もそんな風に、動いていた。
子供の、アネモネの未来のため世界のために頑張ったのだ。
ドミニクがその真実へ導いてくれた。
この時点で
・いい女+3000点
・自分の過去とのリンク+5000点
・理想の大人像+27000点
入ってるのわかるかな?
まだ続くよ
父親の残してくれたこの世界を壊すわけにはいかないとアネモネはドミニクと立ち上がる。
予告の「おねがいドミニク、私やらなきゃいけないことがあるの」が出てくる。
https://m.youtube.com/watch?v=Xub5ATx36gA
はい、+5000000000点
いい女がやるべきことをはっきりと自覚して動き出す。
君の名は。にもあったけどま〜〜〜〜〜じで好き。
そのやるべきこととは、エウレカを倒すのではなく止めること。
はい、+7000000000点
同じ傷を抱えた同類だ。
私は歩いた、あなたにもそうしてほしい。
ガリバージエンドとエウレカセブンの戦いをゴジラvsビオランテっていうの的を得すぎてて確かにって思ってしまった。
だけどドミニクの「君が望んだ通りの力だ、だから君を連れて行ってくれる。君が望んだところへ!(またうろ覚え 申し訳ない)」が好きすぎるのと、これは人類にとっての敵エウレカセブンを倒すための戦いじゃなくてひとりぼっちの女の子に会いに行くための道中だってずっと感じられたので終始めっちゃ感動してました。
冷静さを欠いた文章が続いていますがそれぐらい盛り上がる。
エウレカセブン好きの友人から聞いていた感じだとアネモネはドミニクとのコンビがいいという話だったけれど、今回ドミニクはあくまで父親の代わりにアネモネをサポートする立場であり、言ってしまえばあえて見せ場を作ってないと思えるほどに一歩下がった部分でしか動かない。
そこがもしかするとテレビ版好きな人にとっては不満かもしれないのが残念ではあるけれど、これはひとりぼっちの女の子たちの話なのでご容赦を。
失ったものは戻ってこない、前に進むしかない。
ぼくはこういう話が大好きなので最後全てから解き放たれて泣いているエウレカに「やっとだね」と思った、自分でも上手くなにがやっとなのかわからないのに。
綺麗に収まっただけでもよかったのに、残ったニルヴァーシュZ(というらしい デカイ 鳴く声もデカイ)にメッセージ「EUREKA」。
これは「誰か」がエウレカを呼んでいるものらしい→でどこかにいるレントンが映る。
よかったね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そしてこの盛り上がりのなか、エウレカの世界とアネモネの世界が繋がって主役級3人がいて、最終章ハイエボリューション3に続くと。
はー、Blu-ray買お
帰り道に主題歌買って聴きながら歩いて帰ったの君の名は。以来です。
主題歌「There's No Ending」もまたいいんですよ。
https://m.youtube.com/watch?v=_6MiNx3r8K8
この映画でのアネモネにピッタリなちょっとダークででも前向きな曲。
自分の人生哲学とかと結構マッチしてしまってものすごい満足感のある映画でした。
これを書いている段階でまだまだ公開中なのでいろんな人に見てほしいなって思います。
あと1回は絶対見に行こ
できれば誰かと行きたいが、そういう人がいない
ホワイトアルバムはそのうちまたあげます。